『雪国の心』

先日亡くなられた火坂雅志さん
好きな歴史小説家の一人でした。

出版社勤務を経て、1988年「花月秘拳行」
デビュー。吉川英治文学新人賞候補となった
「全宗」や、「軍師の門」「真田三代」など本格派
の歴史小説を次々と発表。

で知られ、越後・上杉家
の家臣、直江兼続を主人公とする「天地人」

2009年にNHK大河ドラマ化され、人気を博し
ました。

「すっきりとした人柄は、直江兼続のようだった」
とその人柄を知る方たちから別れを惜しむ声
聞かれます。

「天地人」のドラマ化にあたっては、脚本家と
チーフプロデューサーに「基本的に自由にやって
ください」
と言ったそうです。

但し一つだけ、これだけは表現してほしいと
頼んだことがありました。それは小説に書いた
「雪国の心」


















”雪国に暮らす人々にとって雪は重く苦しいものです。
豪雪地帯の越後は、水気を含んだ雪の重さで屋根
がきしみます。

だから屋根にのぼって雪下ろしをするのが男たち
の冬仕事になる。たいへんな重労働です。家々の
屋根から下ろされた雪は、やがて軒よりも高く積み
上がっていく。

雪下ろしをしてできた道のほうが屋根よりも高くなる
という雪国ならではの奇観。そんな環境だから冬場
はじっと耐えて我慢するしかない。

そこで力を養って、春に美しい大きな花を咲かす。
それが「雪国の心」です。
その一点だけを忘れないでくださいと。

ドラマではそれが見事に表現されています。
上杉景勝はほとんどしゃべらなくて、笑ったところなど
一度しか見たことがないと家臣に言われる武将です
が、彼の芯の強さ、我慢強さなどは「雪国の心」を
重ねて、よく表現されていると感心しました。”










”人と自然を調和しながら『持続可能な未来』を共創する”