シャーロット王女の誕生に喜び沸く英国で
先ごろ行われた下院総選挙。保守党の単独
過半数獲得という結果。
事前の予想では、大接戦が予想され、いずれの
政党も単独過半数を獲得できない「ハング・
パーラメント(宙吊り国会)」になるとも言われて
いました。
先ごろ行われた下院総選挙。保守党の単独
過半数獲得という結果。
事前の予想では、大接戦が予想され、いずれの
政党も単独過半数を獲得できない「ハング・
パーラメント(宙吊り国会)」になるとも言われて
いました。
しかし結果は、保守党が過半数の331議席を
獲得。5年ぶりの政権交代を目指した労働党は、
大票田としてきたスコットランドで、地域政党
スコットランド民族党(SNP)に躍進を許し、
232議席と低迷。
SNPはスコットランドに割り当てられた59議席中
、56議席の得票数。
昨年9月に英国からの独立を問う住民投票を
主導したSNPは、スタージョン党首の下、労働党
と協力して税制優遇策や経済支援などを取り付けて
福祉国家への道強化へと方針を転換。
主導したSNPは、スタージョン党首の下、労働党
と協力して税制優遇策や経済支援などを取り付けて
福祉国家への道強化へと方針を転換。
中央の既存政党への批判を背景に支持を広げた
SNPは、スコットランドにきわめて強固な地盤を
築いた形で、第3党として英政界を揺さぶりそうです。
SNPは、スコットランドにきわめて強固な地盤を
築いた形で、第3党として英政界を揺さぶりそうです。
デビッド・キャメロン首相は選挙戦の過程で
「保守党が勝ったらEU離脱の是非を問う国民
投票を繰り上げ実施する」と公約。
今回、それが実現したことで約束を守る必要に
迫られることでしょう。田中理氏のレポートから、
今回の総選挙結果は、英国内の分裂マグマと
EU離脱への遠心力が着実に増大していること
がわかります。
↓”EU諸国の間では近年、英国の「いいとこどり」
への不満も広がっており、EUとの関係見直し
協議が英国の望み通りに進まない可能性もある。
その場合、英国民の間でEUへの不満が一段と
広がり、離脱派が再び勢いを増すリスクも無視
できない。
「保守党が勝ったらEU離脱の是非を問う国民
投票を繰り上げ実施する」と公約。
今回、それが実現したことで約束を守る必要に
迫られることでしょう。田中理氏のレポートから、
今回の総選挙結果は、英国内の分裂マグマと
EU離脱への遠心力が着実に増大していること
がわかります。
↓”EU諸国の間では近年、英国の「いいとこどり」
への不満も広がっており、EUとの関係見直し
協議が英国の望み通りに進まない可能性もある。
その場合、英国民の間でEUへの不満が一段と
広がり、離脱派が再び勢いを増すリスクも無視
できない。
SNPの勢力拡大による波紋にも注意が必要と
なる。保守党政権が誕生する可能性が高まった
ことで、SNPが労働党政権への協力と引き換え
に、スコットランドへのさらなる権限移譲や独立
投票の再実施を求める可能性は遠のいた。
だが、SNPは他の地域政党とも連携強化を模索
しており、今後、国政での影響力を増すことは
確実だ。”
なる。保守党政権が誕生する可能性が高まった
ことで、SNPが労働党政権への協力と引き換え
に、スコットランドへのさらなる権限移譲や独立
投票の再実施を求める可能性は遠のいた。
だが、SNPは他の地域政党とも連携強化を模索
しており、今後、国政での影響力を増すことは
確実だ。”
英国はイングランド、スコットランド、ウェールズ、
北アイルランドの4つの自治州政府によって構成
されています。
1990年代に北アイルランド議会、ウェールズ議会
、そして約300年ぶりにスコットランド議会が復活。
地域主権に関わる立法権限が英国議会から移管
されたのに対し、イングランド議会は今も存在して
いません。
またスコットランドは、イングランド、ウェールズ、北
アイルランドと比べて手厚い財政移転を受けて
います。権限移譲と引き換えに、こうした傾斜配分
の見直しを求める声が強まる可能性もあります。
EUからの離脱を求める遠心力と「内なる分裂」の
マグマが静かに、だが着実に蓄積している英国の
現在。
このような「内なる分裂」のマグマは、米国にも見ら
れます。高等教育の普及、技術革新、アメリカン・
ドリームは多くの国にとり魅力的なものでした。
しかし、今、米国は大変豊かなエリートとそれ以外
に分かれた不安定な社会になってきています。
米国経済は全体として見れば経済成長が続いて
きたから平均値では豊かになったはずですが、
OECDは米国では所得が最も少ない10%の層の
人たちの収入は、2000年から2008年の間に実質
で10%減少したと指摘。
米国のソフト・パワーである中産階級の存在が
掘り崩されている状況です。
ティー・パーティの孤立主義とウオール街占拠運動、
ボルティモアでの暴動などの中に、その兆候が
見られます。
第二次世界大戦終結から70年が経つ今年、顕在化
してきた国家の歪みは、英国や米国だけでなく日本
を含む先進諸国の多くにそれぞれの形で見られます。
日本では厳しい少子高齢化が着実に進んでいます。
1950年、日本では1人の高齢者を12.1人の現役世代
(15~64歳)が支えてきました。
2015年、1人の高齢者を2.3人の現役世代が支えて
います。そして2060年になると、1人の高齢者を1.3人
の現役世代が支える超高齢社会が到来します
(『平成26年版 高齢化白書』)。
世界的な格差拡大に警鐘を鳴らす「21世紀の資本」
の著者トマ・ピケティ氏。
氏は、歴史を見ると資本が蓄積されても収益率の低下
は非常にゆっくりしており、過去に資本への分配が低下
したのは、戦争や恐慌による資産の減少が原因で、
21世紀の先進諸国では所得の中から資本が受け取る
部分の割合が上昇していく可能性が高いと主張。
資産が所得を生み、資産と所得が相互に格差を増幅
することが続けば、相続を通じて親から子へと格差が
固定されてしまうことになります。
単純に所得格差のない社会が理想的とは思いません
が、著しい格差は社会を不安定にするおそれがあり、
格差の固定が閉塞感を生むことは否めません。
英フィナンシャル・タイムズ紙の論説を最後に紹介して
この稿の終わりとします。
「市場経済を維持しつつ、格差を減らして目的や達成
感を共有することは価値がある。
市場のダイナミズムと効果的な所得再配分政策を
組み合わせることは、我々の時代を特徴付ける政治
的な課題の一つだ。
そのためには各国政府や国際社会が目的を共有
して行動することが必要になる。」
参考: 『揺れるグレート・ブリテン』
が、著しい格差は社会を不安定にするおそれがあり、
格差の固定が閉塞感を生むことは否めません。
英フィナンシャル・タイムズ紙の論説を最後に紹介して
この稿の終わりとします。
「市場経済を維持しつつ、格差を減らして目的や達成
感を共有することは価値がある。
市場のダイナミズムと効果的な所得再配分政策を
組み合わせることは、我々の時代を特徴付ける政治
的な課題の一つだ。
そのためには各国政府や国際社会が目的を共有
して行動することが必要になる。」
参考: 『揺れるグレート・ブリテン』
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