『サーチャビリティが重要となる未来』

“I never let education get in the way of
my learning”
(私は学校に私の教育を阻ませたりはしない)


『トム・ソーヤーの冒険』の著者として知られる、
作家マーク・トウェインの言葉。















このところ「教育」と「学び」の違いについて、
いろいろ考えています。

英語での意味の違いを調べてみると、おおよそ
次のような説明。

教育:Education
 決められた教育課程を終了するにあたって、
 与えられた教科を学ぶ事。
 「学ばないと次に進めないから学ぶ」

学び:Learning
 勉強する意欲やモチベーションが存在して、
 何かについて学ぶ事。
 「興味を持ったことを解りたいから学ぶ」

教育と学びで明らかに異なるのは、自らの意思
が存在しているか否か
ということ。
といって、教育や学校の批判をしようという
つもりではありません。

自分が現在関わっている「サス学」のつながり
を通して、学びの大切さを感じているものです。

そして、上記の比較から、なぜ?どうして?と
いう不思議や問いを持つこと
から学びは始まる
のではないかと思います。













私はサス学アーキテクトとして活動しています。

「サス学」とは、環境問題や社会課題をテーマ
に、
小中学生が「自分ごと」として考え議論し、
本質を探究していく新しい学びのプログラム

現在、小4から中2まで5クラスに、各5~12名
ほどが学んでいます。

子どもたちと接していて感じることは、だいたい
どの子も真面目に与えられた課題に対して、
指示されたことはコツコツ取り組み
ます。

しかし一方で、自分なりの意見を述べたり、
それを根拠づけるために学習の成果を活用する
ことには慣れていない
ことがわかります。
これは大人も同様ですね。

ふだんペーパーテスト重視型の教育を受けて
いる子どもたちが、自ら学び問うことを求められる
「サス学」
の場に来ると、初めての経験に戸惑い
の表情
を見せる子もいます。

しかしそのうち場に慣れて、自らの「問い」を立て
「学ぶ」ことの面白さを体感できた子
は、
次の「学び」に取り組む楽しさを知ることができる
ようです。

一人ひとり性格も興味も異なる子どもたちが、
いかに好奇心の芽を伸ばしていけるように
手伝いができるか
、私にとっての良い学び















伊藤穰一MITメディアラボ所長が以前語った
言葉に、大きなヒントを見つけられます。

”まず「教育」と「学び」は違います。

英語で言うと「Education」と「Learning」ですが、
いま大事なのは「教育」ではなく「学び」のほうです。

学ぶためのパッション、学ぶためのコラボレーション
をどうやって子どもたちに授けていくのか。

そこをやっていかないかぎり、授業をいくらオンライン
化したところで意味がありません。

日本に限らず、世界中のどこにも「何にも興味がない」
という子どもたちはたくさんいます。

けれども、学校では「興味をもつ」ということは
教えてくれません。
子どもたちはむしろ、何かへの興味を友達やコミュニティ
から得ていくんです。

マンガでもゲームでも、興味をもったところに行動が
起こり、その行動のなかから「学び」が起きてくる。

先生は必要なく、仲間とのコラボレーションから
新しい考えや発想が生まれてきます。

メディアラボがやっているのもまさにそういうことなのです。
つくりたいという欲求から始めて、そのためには何が
必要かを考えていくのがわたしたちのやり方です。

ものづくりを通して、興味をドライヴとした学びが
起きるんです。
『WIRED』VOL. 5(教育特集:「未来の学校」))















伊藤さんは、これからの社会において会社は、
個人のプラットフォームに
なっていくといいます。

あたかもそれは音楽レーベルやメディアと同じく、
ブランドや価値観のもとに人々が集まるプラット
フォーム
して会社があって、そのプラットフォーム
の上で世界にアピールしていくのが個人
だったり
するのではないかと。

自分ができることを世界中の人に知ってもらうこと
や、それを必要とする人々に見つけてもらう
「サーチャビリティ(検索可能性)」が重要となって
くるであろうこれからの未来。

これまでの「自分の才能を使って何をつくり、どこに
売るか?」
ではなく、「自分の才能を使ってくれる人
たちに見つけてもらうためにはどうすればいいか?」
が大事になる。

オープンイノべーションのネットワーク時代における、
会社や個人のあり方となるのでしょう。「学び」の
大切さ
をますます感じます。

日々取り組んでいる「サス学」では、この視点を
ますます大切にしていきたいと思っています。

Education is what remains after one has
forgotten everything he learned in school.

The aim must be the training of independently
acting and thinking individuals who see in
the service of the community their highest
life problem.
教育とは、学校で習ったすべてのことを忘れて
しまった後に、自分のなかに残るものをいう。

そして、その力を社会が直面する諸問題の解決
に役立たせるべく、自ら考え行動できる人間を
つくること、それが教育の目的といえよう。
(アルバート・アインシュタイン)
 

















”人と自然を調和しながら『持続可能な未来』を共創する”