『孔雀の背に乗る明王』

孔雀明王は、両翼を広げ尾を光背のように展開した
孔雀の背に乗る姿の明王
 
24歳の時、初めて訪れた憧れの高野山
霊宝館で対面した、 快慶作の孔雀明王の姿に
強く惹かれました。 
不動明王愛染明王のように怒りをこめた
きびしい忿怒相の表情ではなく、慈愛をこめた
慈悲相といわれるやさしい顔
で、他の明王とは
異なった姿で表現されています。

日本ではあまり一般に信仰されてはいませんが、
明王の中でも最も早くインドで成立していたのが
この孔雀明王です。

元来は、インドの女神マハーマーユーリーで、
パーンチャ・ラクシャー(五守護女神)の一柱
マハーマーユーリーは、「偉大な孔雀」の意。
摩訶摩瑜利、孔雀仏母、孔雀王母菩薩、
金色孔雀王
の名を持ちます。
日本では奈良時代には祀られていたようで、
孔雀明王菩薩・摩訶摩由璃菩薩といわれ、
堂に安置されていたようです。

オン・マユ・ラ・キランディ・ソワカ


孔雀明王を本尊とした密教呪法は、孔雀経法
とよばれ、真言密教において孔雀経法による
祈願は鎮護国家の大法とされ最も重要視され
ました。
1980年代後半にブームを呼んだ「孔雀王」。
主人公の退魔師「孔雀」が、化け物を退治する話で、
闇の密法集団・六道衆との戦いが描かれました。
(荻野真氏の漫画)

伝説の大魔王・孔雀王の復活を画策する大聖歓喜天、
魔神軍荼利の画策により闇の大日如来と化した悲劇
の姉弟オルガとオカン、これらの敵と戦い抜いた孔雀
は神の聖杯を巡るラストバタリオンとの最終対決へと
向かうというもの。

孔雀出生の秘密を縦糸とし、世界中のいろいろな神話
をモチーフとした壮大な物語
は、大変ユニークな内容
でした。
その中で紹介されていたとても興味深い話。
「ヤジディ教」というイラクのクルド人の間で信奉される
教え
があり、彼らが崇拝する主神は マラク・ターウース
(Melek Taus)


この神こそが「孔雀天使」人類を救うために天に反逆
した堕落天使
とされています。メレクタウスとも呼ばれ、
ヘブライ語ではマラクは天使の意味を表します。

最初に生まれた原初の天使である、マラク・ターウース
は一万年地上を支配するとされ、今から6000年前より
支配。

反逆の罪で一度地獄に落とされた後、神に許された
孔雀天使マラク・ターウース
は、神とともにアダムを
作ったが、楽園からいつまでも出ないことに対して、
神と共謀してアダムに知恵を与え、楽園から追放。

しかし、同時にあらゆる恵みを人間に与えたという
伝説があります。

遊牧民族の「クルド人」が、何故ヘブライ語を使用して
いるのでしょう。一説には、古代イスラエル王国の
失われた十二支族
のうち、未だ行方が知られていない
十支族の中の一つではないか
と言われています。


日本の天皇家の祖先は、この失われた十二支族に

つながりがあるとの説もあり、とても興味深いつながり

です。

”人と自然を調和しながら『持続可能な未来』を共創する”