『全力で送り続けたまなざし』

リオ五輪、日本人選手の活躍にとても励まされた
すばらしい大会でした。












(写真元:NHK

今大会の日本のメダルの数は、過去最多の41個
(金12、銀8、銅21)

その元となったのは、各競技それぞれにメダル獲得を
目指した改革
にあったようです。

「柔道」は、男女14階級で計12個の過去最多
とくに男子は金2、銀1、銅4と1964年の東京五輪
以来、52年ぶりとなる全階級でのメダルを達成

「お家芸」復活を強く印象づけました。

その成功の要因を見ると「選手をとことん信じる」
スタイルと、データ主義の徹底
があるようです。

”「感覚に頼るな」。男子の井上康生監督の口癖
だ。

女子の南條充寿監督も、2004年アテネ五輪時に
データ分析班だった経験を元に「先に指導を取った
試合は7割勝つ」と客観的な数値に基づき、
「先手必勝」の大切さを説いた。
迎えたリオ五輪の競技初日。日本のコーチ陣は
気づいた。「審判がいつもより指導を取らない」。

分析班が調べると、2日目までの指導数は1試合
当たり平均1.7。ここ数年の国際大会の平均2.2を
下回っていた。一つ目の指導が勝負を分ける可能
性が高まるため、積極的な攻めを促した。”

朝日新聞8.22) 















(写真元:毎日新聞

井上監督の「選手をとことん信じる」スタイル。
それは、わが子に接するような深い愛情とあたたかさ
を含んだ、心からの信頼


”おやじがよく言ってました。金を貸してくれと頼まれたら
あげるつもりで渡せ、と。裏切るより裏切られる方が
ずっといい。時に非情になっても、基本的には選手を
信じる心を大事にしたい”
「選手との年齢差を考えれば、井上はどちらかと言えば
、親というよりも兄貴分にあたるだろう。また、監督と
なって以降の取り組みとして、ときに「選手と対等な
関係での会話」がクローズアップされたこともあった。
そんな報道とは少し異なる趣の「子どもたち」という言葉
は、井上の選手への思いの根っこを示していた。
 
厳しい練習をくぐりぬけ、一定以上の力を持つからこそ、
プライドも内包する日本代表選手たちの力を引き出し
たのは、鞭を振るうことではなかった。」
NumberWEB
同じ指導者として、それとは対照的に選手をスパルタ
指導
したシンクロナイズドスイミング井村雅代日本
代表HC(ヘッドコーチ)の手腕も見事
でした。

”手がける選手に結果を残してあげたいからこそ、厳しく
接する。もっと伸びてほしいから、さらに叱咤する。”


鍛え抜かれていない体。他の選手がミスしても何も
文句を言わない風景に見え隠れする無責任さ(
他人に何か言えば自分自身の責任が生まれる。
それを回避しようとする姿勢)や勝負への執念の
薄さ。
井村氏の考える、世界と戦える選手としての基準
からも大きく下回っており、チーム全体は仲良し
クラブのようにしか映らなかったという。」


現代の風潮とは逆行しているような井村HCの
スパルタ指導は、「自分を追い詰め、無理をして練習
しろ」という声かけ
から始まるもの。

そして「一番デキのいい子に合わせる」「本番前に
リラックスさせない」という信条


その激しい練習により、選手たちの意識や姿勢に
変化が起こり、“同調性”が生まれ向上して
いった
といいます。
そしてスパルタによって育てられた選手がメダルを
獲得した時、くしゃくしゃの笑顔でねぎらう
井村HC
の人情の深さ。厳しさの裏にある愛情がとても
感じられます。

「井上監督も井村HCも、「自分のため」、つまり
名誉や欲ではなく、選手のためという点では等しい。
励ましも叱咤も、どのような類の言葉であっても、
言葉そのものにあまり意味はない。
その言葉に力を与えるのは、それを発する者の
まなざしにほかならない。

まなざしとは、相手への真剣な思いだ。
それなくしては、いかにあたたかな励ましを贈って
も、選手の心の奥底に伝わることはない。
井上への感謝を言葉にする選手たち、井村に感謝
を伝える選手たち。その関係を築けたのは、井上、
井村が選手に向かって全力で送り続けたまなざし
にある。」


指導者と選手との間に結ばれる関係性。どのような
関係を築けるか
は、指導者の人間性に大きくかかって
いる。

子どもを教え育てる上で、大変参考になることです。

”人と自然を調和しながら『持続可能な未来』を共創する”