『壊死する地方都市の衝撃』

「中央公論」12月号に掲載された『壊死する地方都市』
に衝撃。

増田寛也氏と人口減少問題研究会「2040年、
地方消滅。『極点社会』が到来する」
では、地方消滅の
時代が来るといいます。 


綿密な人口動態調査により、減少は地域により進行度が
異なります。

大都市への若者流入や、若年女性の減少速度が、
大都市圏に人口を吸い寄せる「人口ブラックホール現象」
を産んで、消滅地方都市との「極点社会」の到来を
データで裏付けています。

2012年の出生率1.41を人口が維持される水準(出生率
2.1)にまで、仮に2030年に引き上げても、人口減が止まり
、安定するのは2090年頃までかかります。 

その時の総人口は、9,900万人。
出生率回復が5年遅れるごとに、将来の安定人口数は
300万人程減少
” 


人口減少の大波は先ず地方の小規模自治体を襲った後
、地方全体に広がってゆき、やがて都市部も飲み込んで
いきます。

30年後、人口の「再生産率」は急減し、消滅する地域が
続出


「壊死」
という言葉があえて使われた理由。

それは次第に身体が蝕まれていくように、特に地方に
おいては人口が減っていき、やがては地域そのものが
存続できないほどになってしまう
、ということが実感と
して伝わってくるもの。

高齢者もいなくなり、行き詰る地方。
大都市圏では出生率低下


一方、2012年度の「国の教育ローン」を利用した世帯へ
のアンケート結果によると、家庭の年収に対する教育費
の割合がほぼ4割
になることが分かりました。

親の両肩に、教育費の負担がずしんと重くのしかかって
いる様子がうかがえます。

日本政策金融公庫が昨年7月、国の教育ローンの
利用者(平均年収約553万円)にアンケートしたところ、
家計の教育費負担が高まっていることが判明。

低所得層では6割にのぼり、生活費を節約して学費を
捻出する傾向も強まった。

















若年層の所得の伸び悩みや女性の社会進出
が進んで
いることなど、様々な背景によって、晩婚化や初産年齢
が上昇しており、少しずつ一人っ子の家庭が増えています。

国立社会保障・人口問題研究所
が定期的に行っている
「結婚と出産に関する全国調査」から、結婚後15~19年
経った夫婦が持つ子どもの数の統計データがわかります。

少子化の要因は複合的
なものですが、まず社会が
発展してゆくと産業も高度化し、それにに伴って技術や
スキルの高い人材が求められるようになりますから、

それに対応するために高学歴化をもたらし、高学歴化は
子どもの教育費の増大と、子どもが成長してから社会的
に自立できる年齢を遅らせる効果をもたらします。

子どもの教育費増大は親にとって負担になるため、
夫婦は子供の数を減らしますし、高学歴化による社会的
自立可能の年齢上昇は晩婚化
につながり、こちらも
少子化の原因となります。

ことがわかります。

そこで、これらの国々の中でどのような社会環境の違い
があるのかについて分析してゆくことが、少子化を克服
するためのヒントが得られるでしょう。

出生率を回復させたフランス
を例にとると、子供2人になる
と家庭に対して手当が支給され、毎月約117ユーロ
国から受け取ることができます。

子供が11歳以上になると額は加算され、20歳まで支給
されます。

3人目からは1人に付き約150ユーロと給付額を倍以上に
増やす措置をとっていますし、この他に出産手当や3歳
までの児童手当
もあります。

教育費についても公立学校なら高校までの授業料は
無料
です。

また、育児休業制度も充実しており、子どもが3歳になる
までの休業が可能で、企業にも休職前の地位を保証する
ことを義務付けています。

託児施設も充実しており、日本のように待機児童が
あふれかえるようなことはありません。母子家庭に対する
給付も充実
しているため、子どもの半数近くは婚外子と
なっており、結婚にとらわれないで出産できる社会環境
が作られています。

 

















出生率を下げている原因が、晩婚・非婚・出産高齢化
なのは各種調査でも共通していること。

女性の社会進出にともなう事象ですが、「子育てに
冷たい社会への女性たちの無言の抵抗」
とも揶揄
されています。

女性は出産・育児について、国の政策以上に社会や
企業の理解を期待している
との世論調査もあります。

社会が出産・子育てに後ろ向きでは国の活力は縮小
するもの。少子化対策とは本来、子どもを持ち家庭を
築くという人の根っこの部分が対象
であるはず。

これまで少子化対策は困っている人を助けるという
対症療法的な考えで、制度がつぎはぎ
でした。
子ども・子育て3法の成立待機児童対策給付の
簡素化
には進歩があったと思います。

さらに教育政策との整理が必要でしょう。

「福井新聞」2013年2月10日の記事には、こう書かれて
いました。

”子育ての前段となる子をなし家庭を持つ喜びを学校
で家庭で社会で育みたい。

産み育てることは日本の未来を担う貢献であり、家庭
で専念する女性も立派に社会参加を果たしている。

生まれた子も母も父も結婚を願う男女も幸せの居場所
を築けることが少子化対策というものだろう。

フランス、スウェーデンのように国が結婚と同じ身分を
保障するシングルマザーなど、さまざまな家族の在り方
を模索し、子どもを持つことが幸せだと思える社会に
なれば、少子化対策は前進するのではないか。”


http://d.hatena.ne.jp/i-haruka/20130213/1360700550



”人と自然を調和しながら『持続可能な未来』を共創する”