『生命のつながりの表現者』

”どれだけ違う世界で生まれ育とうと私たちは
ある共通する一点で同じ土俵に立っている。

それは、たった一度の人生をより良く生きたい
という願いなのだ。

そう思ったとき、異国の人々の風景と自分が
初めて重なりあう。”
 















自然と人に対する限りない尊敬の念
を、
生き生きと表現した写真集。

極北の大地をフィールドに、太古から現在
に至る生命のつながりを表現し続けた
写真家、星野道夫
さん。

珠玉の輝きを放つ彼の作品をみる度に、
便利や快適さと引き換えに私たちが
かけがえのない数多の風景や生命の輝き
を失ってきた
ことに気づかされます。

少年時代、自分が町で暮している同じ時間に
北海道でクマが過ごしている
ことを想像していた
多感なミチオ少年。

やがてカメラを手に、アラスカの土地に渡ると、
野生の動物を含めた人間の暮しを見つめながら
撮影
を続けました。

アラスカの広大な原野でただ一人、キャンプを張り
カリブーの大移動を待ち続ける中、北米先住民
たちの歴史と重ね合わせつつ、自らのルーツに
想いを馳せ
るようになります。



アラスカ在住であった星野道夫さんが、生まれて
始めて訪れたアフリカ
は、彼が事故で亡くなる
半年前の時期
でした。

それは、タンザニアの奥地にあるゴンベ動物
保護区
チンパンジーの観察研究に取り組む、
ジェーン・グドールさん
と過ごした10日間。 

無限に広がる空、海のようなタンガニーカ湖、
チンパンジーたち。

グドールさんの自伝「Reason for Hope」

その見開き1頁目に、美しい彼女のモノクロの
ポートレート
があります。キャプションには、
故・星野道夫撮影












グドールさんは
26歳の時、有名な人類学者
ルイス・リーキ博士の薦めで、母ヴァンヌと共に、
たった二人でタンザニアのジャングル
に入り、
チンパンジーの観察、研究を始めました。

女性としての生命に対するやわらかく、広い視野
からの研究
は、霊長類学会に大きな変化をもたら
します。

現在、野生生物の保護、熱帯雨林の保護、子ども
たちの教育プロジェクトに全身で打ち込んでいる

彼女に、私は2008年講演会のお手伝いをした
縁で終了後に親しく話
をさせていただきました。

 
















「人と人が出合うということは、限りない不思議さ
を秘めている。

あの時あの人に出合わなかったら、と人生を
さかのぼってゆけば、合わせ鏡に映った自分の
姿を見るように、限りなく無数の偶然を一笑に
付するか、何を見出すかで、世界は大きく違って
見えてくる」


それぞれの人間がたどり着くたった一度の人生
の不思議さ
を、星野さんはいつも教えてくれます。
















”人と自然を調和しながら『持続可能な未来』を共創する”