”核戦争後の地球。
そこを捨てて火星に逃げ出していく地球人たち。
人間には最後に何が残されるのだろうか”
『ブレードランナー』は、1982年公開の米国映画。
ハリソン・フォード主演で日本でも話題を呼びました。
そこを捨てて火星に逃げ出していく地球人たち。
人間には最後に何が残されるのだろうか”
『ブレードランナー』は、1982年公開の米国映画。
ハリソン・フォード主演で日本でも話題を呼びました。
原作は、フィリップ・K・ディックのSF小説『アンド
ロイドは電気羊の夢を見るか?』。
大変ユニークな題名のこのSF小説は1968年に
書かれたもので、第三次世界大戦後の荒廃した
地球が舞台。
「長く続いた戦争のため、放射能灰に汚染され
廃墟と化した地球。生き残ったものの中には
異星に安住の地を求めるものも多い。
そのため異星での植民計画が重要視されるが、
過酷で危険を伴う労働は、もっぱらアンドロイドを
用いて行われている。
また、多くの生物が絶滅し稀少なため、生物を
所有することが一種のステータスとなっている。
そんな中、火星で植民奴隷として使われていた
8人のアンドロイドが逃亡し、地球に逃げ込むと
いう事件が発生。
人工の電気羊しか飼えず、本物の動物を手に
入れたいと願っているリックは、多額の懸賞金の
ため「アンドロイド狩り」の仕事を引き受けるのだが…」
約50年前に書かれた作品でありながら、この作品
の世界観は驚くほどの緻密さで描かれています。
作中では1992年の出来事という設定でありながら、
現代から見ても「近未来感」を感じさせます。
SF映画の金字塔として高く評価され、1993年
アメリカ国立フィルム登録簿に永久保存登録。
映画の舞台は、核戦争後の世界であり、残留放射能
が残っている絶望的な世界に、人々は麻薬の代わり
に「情調(ムード)オルガン」なる装置を使い、無理に
精神を安定させている状況。
最強のレプリカント(アンドロイド)であるロイの最期
の場面は、数ある映画の名場面のなかでも、
最も美しく、最も印象的なシーンの一つ。
「全ての思い出も、時が来れば消える。
雨のなかの涙のように。今がその時だ。」
壮絶な戦いを繰り広げたデッカードに、そんな言葉を
残して、ロイは静かに目を閉じます。
彼の腕からは、デッカードとの死闘の最中にもずっと
抱えていた一羽の白いハトが、一瞬のぞいた雲の
切れ間に向って飛び去っていきます。
まるでロイの魂が天に還っていくかのように。
そう間違いなく、ロイは人としての魂を宿していました。
この場面を観るまでは、レプリカントは人間とは異質な、
人間の存在を脅かす悪い存在だと思い込まされています。
でもこの場面からは、実はそうではないと気づかされます。
限りなく人間に近い、いや、人間そのものとさえ言える
存在でありながら、人間から差別され虐げられてきた
ロイとその仲間たちの苦悩に思いが及びます。
ロイたちが味わった辛苦から、現代社会にある「格差」
から生まれている様々な「疎外」に目を向けさせられます。
こうした反転の可能性は、現代に生きる人々全てが
抱えている不安要素。
今は豊かな日々を送っていても、何かの過失や事故に
よって、一瞬にして経済の枠組みから疎外されてしまう
というようなことが起こり得ることを意味しています。
さて、「ブレードランナー2(仮題)」の脚本が既に
完成していることが先日、明らかになりました。
前作でハリソン・フォードが演じた主人公、
リック・ デッカードも登場するといい、フォードの
出演も内定しているそう。公開を楽しみに待ちたいと
思います。
<あらすじ>
2019年、地球環境の悪化により人類の大半は
宇宙に移住し、地球に残った人々は人口過密
の高層ビル群が立ち並ぶ都市部での生活を
強いられていた。
宇宙開拓の前線では遺伝子工学により開発
された「レプリカント」と呼ばれる人造人間が、
奴隷として過酷な作業に従事していた。
レプリカントは、外見上は本物の人間と全く
見分けがつかないが、過去の人生経験が
無いために「感情移入」する能力が欠如していた。
ところが製造から数年経てば彼らにも感情が
芽生え、 人間に反旗を翻す事態にまで発展した。
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