『オリンピックを通した人間教育』

ネクスファ「サス学」、先週から始まった
二学期学びのテーマは、「オリンピック」
(「サス学」は三井物産㈱の登録商標

2020年東京オリンピック・パラリンピック

対する文科省の来年度予算、スポーツ関連
概算要求
は今年度の倍以上となる約531億円
でした。

(準備予算が約358億円、選手強化費が
約117億円)


その中で注目するのが、約24億円の予算計上
による、全国の小・中・高校を対象とする、
「オリンピック教育プロジェクト」


約1千校の拠点校を指定
して、オリンピアンを
授業に招くなど、交流を通して関心を高めて
いく狙いだとききます。

実は、オリンピックは小・中・高、大学も含めて
教材の宝庫


競技とその周辺に限らず、国際問題や歴史・
文化、スポーツビジネスと商業主義、人種
差別やドーピング(禁止薬物使用)、科学研究
や都市・社会創成
など、様々な学びの材料が
あります。

そして、いろいろ調べてみると、実は「オリンピック
教育」のねらいは、単に「オリンピックを学ぶ」こと
だけではない
ことがわかります。

それは”オリンピックを題材として、世界に広がる
多様な価値を学ぶ”
こと。

このオリンピックの理想を取り入れながら、
体育やスポーツという分野にとどまらない教育活動
や文化活動を広めることが重視されています。

目的・対象に応じての方法を使い、各国で行われて
いるオリンピック教育



IOCは、オリンピズムの理想をより具現化するため、
「卓越(Excellence)」、「友情(Friendship)」、
「尊敬(Respect)」の3つの価値を設定しています。

この3つの価値を基に、「スポーツを通じた教育活動」
「スポーツ・フォー・オール」、「スポーツを通じた平和
活動」、「女性とスポーツ」、「スポーツを通じた開発」、
「スポーツと環境」の6領域にわたる活動を進めています。

このうち「スポーツを通じた教育活動」では、オリン
ピックの価値教育プログラム(OlympicValues
Education Programme)を作成。

5つの教育的価値として、
・「努力する喜び(Joy of effort)」
・「フェアプレイ(Fair play)」
・「他者への尊重(Respect for others)」
・「卓越さの追求(Pursuit of excellence)」
・「身体、意志、心の調和(Balance between body, will and mind)」

が示されています。

08年、09年の学習指導要領の改定に伴い、中学校、
高等学校の体育分野に「オリンピック」という文言
が明記され、教科としての体育において、オリン
ピックを学ぶこと、オリンピックを通して学ぶこと

定められています。

11年制定のスポーツ基本法
では、その存在が
明文化されて、今年刊行の文部科学白書は
オリンピック特集を組んでいます。

過去のオリンピックでは、開催国の学生たちが運営
に大きな役割
を果たしてきました。

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
は、8万人規模といわれるボランティア
とりわけ語学ボランティアの担い手として、また
オリンピズム普及の中核として、大会盛上げへの
寄与に、学生たちへ熱い視線を送っています。

7月26日に創設発表された、筑波大学の「つくば国際
スポーツアカデミー(TIAS)」


この国際的なスポーツ指導者を養成する大学院について
、教育の基本理念は、オリンピズムとともに嘉納治五郎
の思想
である、「精力善用・自他共栄」「一世化育」
置くそうです。


一世化育とは「一人の教えは百代、つまり永遠に続く」
という意味。 

柔道の創始者
である嘉納は筑波大学の前身 、東京
高等師範学校校長を務めた教育者

1909年にアジアから初めてIOC委員に就任した 
日本オリンピックの父
です。

同じ教育者のオリンピック創始者、ピエール・ド・
クーベルタン
が唱えたオリンピズムに共鳴して
生涯の友となりますが、一方で武士道精神
オリンピック・ムーブメントを通して世界に
普及させたい
との思いも抱いていました。

オリンピックというと、華やかな競技大会に
目が行きがち
ですが、実はスポーツを通した
人間教育に他ならない
ことがわかります。

さて、「サス学」二学期学びのテーマである
「オリンピック」を子どもたちは、どのように考え、
思考を深め、アウトプットを創り出していける
でしょうか。

成果発表まで、どのように学びのプロセスを
楽しんで
いけるか、期待していきたいと思います。



”人と自然を調和しながら『持続可能な未来』を共創する”