『大地動乱の時代』

『そもそも、日本は明らかに地震国であり、火山国です。

日本の国土面積は世界の0.28%ですが、世界の地震
の10%は日本で起きている。

火山活動は7~10%です。そして、地震や火山の活動
には、揺らぎがあります。つまり「活動期」と「静穏期」が
あり、行ったり来たりする。

今がどうかというと、明らかに活動期に入ったと見るべき
でしょう。』
















長尾年恭氏(東海大学海洋研究所教授 
地震予知研究センター長)
の興味深い意見。

昨晩、小笠原諸島西方沖で起きた地震
震源は太平洋プレートと呼ばれる巨大な岩板の
内部だったそうです。

気象庁によると、震源が約200㎞よりも深い深発
地震
と呼ばれるタイプの地震で、日本全国で広く
揺れを観測しました。

とりわけ関東で特に強い揺れを記録したのは、遠い
地域に強い揺れが伝わる「異常震域」
と呼ばれる
現象が起きたためとみています。

日本列島やその周辺の海で複雑に重なり合う複数
のプレート
のうち、最も深い位置にあるのが太平洋
プレート


この太平洋プレートはフィリピン海プレートなどの下
に沈み込み、日本列島の地下深くまで
続いている
状態。











地震波はふつう、震源から遠くなるほど弱く
なり
ますが、地震波が固い岩盤を伝わっていく場合
、弱まりにくい性質
があるそうです。

谷岡勇市郎氏(北海道大教授)は、今回の「異常
震域」について、『海のプレートは陸のプレートに比べて
固く、プレートの中を伝わる地震波が弱まりにくいため
、広く揺れが伝わった』
と指摘。
口永良部
島の
新岳
噴火、桜島で今年600回目となる
爆発的噴火、箱根山では、火山性地震の発生回数
が2000回に迫る
、など明らかに日本列島は地震「活動
期」に入った
と複数の専門家がいいます。

戦後最悪の57人の死者を出した御嶽山が噴火したの
は昨年9月のこと。西之島は今なお噴火活動が続き、
今年に入ってから箱根山や蔵王山の噴火警戒レベル
は上がったまま。

霧島山や雲仙岳、阿蘇山など、九州にある火山は、
プレートがマグマを押し上げており、そのマグマが
火口底が上げている
状況。













(写真元フォッサマグナ - Wikipedia

太平洋プレートやフィリピン海プレートなど
たくさんのプレートの境界に位置する日本

プレートとプレートの境界は岩盤が衝突し、一方の
プレートが沈むのにひきずられて歪みが発生
し、
そのひずみが限界に達すると壊れて地震が起きます。

地震が多く発生するのは、そうしたプレートが沈み込み
を起こす地域であり、日本は地殻変動が激しい
環太平洋地震帯に位置
していることを私たちは忘れて
はなりません。

磯田道史氏(茨城大准教授)によれば、江戸時代
以来、日本は5回の地震活動期
を経験しているとか。

・1610年頃の慶長期
・1700年頃の元禄宝永期
・1855年頃の安政期
・1890年頃の明治中期
・1945年頃

50年か100年ごとに地震活動期がきており、一度
「活動期」に入ると、列島の地下構造の破壊が
すすみ、数年から20年は地震津波が続いて
いると
いいます。













笠原順三氏(東京大学名誉教授)
は、
「最近の不気味な兆候」として、震源が西に移動
しているといいます。

『東日本大震災の影響で、関東の地震活動の
震源地が徐々に西に移動しています。

地球の内部に向かって動き続けている太平洋
プレート上の震源地がそのままフィリピン海
プレート側(つまり西)に移動していけば、直上
にある首都圏を直撃することになります』


首都圏直下型地震が起きた場合、予想される
経済損失額は300兆円

『地球上の巨大地震の大部分は沈み込み境界
でおこる。

それらの震源断層運動は、海溝から陸側に傾き
下がるプレート境界面(深さ数十キロくらいまで
のスラブ上面)を震源断層面とする逆断層型
であることが、プレートテクトニクスとは独立に
地震学的に明らかにされた。

だが、その震源断層運動がなぜそこに発生した
のかという理由は、地震の解析だけではわから
ない。』

(「大地動乱の時代-地震学者は警告する-」
石橋克彦著)


地球史規模の視点で捉えると、地震は周期的
にまさに繰り返されている
ことに納得せざるを得ま
せん。

繰り返される地震に対し、その時代に生きる私たち
人間の臨む姿勢が問われている
ということなのでしょう。

















『われわれには、地殻変動期のこの島で暮らす
相当の覚悟が要る。

建物を補強し、病院などに発電機を備え、家財
を固定し、地震被害を軽減しなくてはならない。

低地に高い避難やぐらを建て、高台への避難
路を整え、住宅を高所に移し、津波に備えなく
てはならない。防潮堤は費用対効果を考えて
設置したい。

また海底津波計を日本列島の沖合にくまなく
沈めて、津波を早期に察知し、沿岸住民に
すばやく警報する準備が急がれる。

津波警報の精度が悪いと警報の信頼がなくなり
悲劇がおきる。』

(磯田道史氏)





















”人と自然を調和しながら『持続可能な未来』を共創する”