『世界を救うマラリアワクチンに挑戦』

主人公は大阪大学微生物病研究所教授堀井俊宏先生
マラリアワクチン開発で世界をリードされています。










かつてアフリカのガーナ共和国に、森林生態系保全プロ
ジェクトの推進で二度
行った私は、マラリアの恐ろしさを
現地で見聞きしました。

マラリアは黄熱病と異なり、予防ワクチンがありません。
予防薬はあるのですが、副作用のあることを聞いて、
私は使用しませんでした。

エイズ、結核と並ぶ“三大感染症”の一つ、「マラリア」
100か国余りで流行し、年間2億人以上が感染、100万人
以上が命を落として
います。

そして亡くなる人の多くは、5歳以下の子どもたち

堀井先生は、「マラリアに苦しむ子どもたちのために、
ワクチンが必要なんだ」
という強い気持ちを持って研究
を続けています。

そもそも堀井先生がマラリアの研究を始めたのは、
1984年32歳の時。

当時、先進的な分子生物学の研究をしており、マラリア
については百科事典でその項目を探さねばならないほど
知識がなかったといいます。

先生は30代に入りマラリア研究に転向しました。
それはなぜだったのでしょう?

その理由の一つは、ライフワークとなる新しい研究テーマ
を探す時間が欲しかったこと。もう一つは、留学先の研究
対象がマラリアであったそう。

研究を学びに行くポスドク(博士研究員)と違い、マラリア
研究に分子生物学を導入してほしいという相手の要望
興味を持ったといいます。

その結果、ポスドク先であるダートマス大学への留学
決まりますが、「これからずっとマラリア研究をしていこう」
と決意するのはまだ先の話。

帰国後、マラリア研究ではない元のポストに戻ろうとして
いたところ、若く業績もなかった堀井先生に次期教授の
ポストが打診
されます。それを切っ掛けに「マラリアを
一生研究していこう」と決意
したそうです。

先生はマラリアの研究を始めた時、周囲の理解を
得ることに大変苦労
したといいます。

「マラリアは日本にないのになんでそんなことを日本で
するのか?」
と言われたそうです。

2000年前後、世界の医療研究の中心はアメリカであり、
日本の貢献などは期待されておらず、日本人は日本の
ことをしていればいいと思われていました。







 






先生は、それでもマラリア研究が国際貢献であることを
訴え続けます。

これまで、世界各国でワクチン開発が行われてきました
が、その予防効果は、高くても30%程度。効果的な
ワクチンは、存在していません。

“不可能に近い”とされてきた『マラリアを予防するワク
チン』
の開発に約20年間挑み続けてきた堀井先生。

「マラリア防御免疫と強い相関があったのはSERA(
マラリアワクチン候補抗原であるタンパク質)だけ」
信じ、ついに臨床試験で、世界最高レベルの“72%”
いう発症予防効果を実証副作用がないこともわかり
ました。

「その時のエキサイトな状態は尋常じゃなかった。
研究していた中で一番うれしかった」

新ワクチンは特殊なたんぱく質などが成分で、
接種すると体内で抗体をつくります。病気を媒介
するマラリア原虫にくっつき増殖を妨げる働き

あり、効き目は1年続くといいます。

先生の開発しているワクチンが承認されれば、世界を
救う初のマラリアワクチンとなる可能性があります。

実用化を心待ちにしているのは、現地の人たちだけ
ではありません。
旅行者、アメリカ陸軍、インドや中国からの出稼ぎの人
など数多くの人が待ち望んでいるのです。

「この発見をしてしまった責任感から、本当に泣きたく
なってももう前に進むしかない」と自分を奮い立たせて
います。先生の挑戦を応援しましょう!





 









   


”人と自然を調和しながら『持続可能な未来』を共創する”