”日本で唯一の問題は出生率の低さだ”
フランスの出生率が高く、特に中流階級の女性が
国から手厚い援助を受けていることが出生率上昇
の背景にある。
フランスの出生率が高く、特に中流階級の女性が
国から手厚い援助を受けていることが出生率上昇
の背景にある。
そう語るのは、エマニュエル・トッド氏(歴史人口学者)。
個人の出生・結婚・死亡のデータを調べて社会の変化
を分析する歴史人口学。1976年、『最後の転落』
(La Chute finale)をフランスで出版。
当時、25歳の新進気鋭の歴史人口学者だったトッド氏
はソビエト連邦の乳児死亡率の高さに注目し、「ソ連
は崩壊する」と大胆に予想。
米ソ冷戦の真っ只中、社会主義圏の盟主としての
ソ連の政治体制は盤石に見えていたにもかかわらず。
そしてトッド氏の予想通りに1991年、ソ連は突如崩壊
しました。
”日本で唯一の問題は出生率であると私は言った。
私の国フランスで唯一問題になっていないのが出生
率だ。
その意味では、フランスと日本は正反対の状況にある。
東京に来るたびに、日本人は完璧なまでに見事に
少子高齢化という「衰退」を楽しんでいるかのように
感じる。
過去10年、少子化問題が騒がれている割に、
少しも変わっていない。
フランスや北欧だけでなく、ロシアだって少子化対策
の行動をとっている。その結果、出生率は1.3から
1.7へと上昇している。
日本でも明治維新と同じくらいの革命的な政策を
とるべきだろう。日本の完全主義で大半の問題は
うまくいっているが、出生率だけがうまくいっていない
。”
今年2月、日本政策金融公庫は平成26年の教育
費負担実態調査結果を発表。
■自宅外通学の場合、高校から大学卒業までに
必要な費用(入在学費用、仕送り額及び自宅外
通学開始費用の合計)は約1,485万円
■年収400万円未満の世帯では、教育費の負担
は4割
■留学に前向きな世帯は多いものの、費用が障害
いずれも家計に占める教育費の負担割合が、年々
重くなっていることを認識させられる内容です。
人生の三大資金といわれている「住宅費・教育費・
老後資金」の一つである教育資金の家計に占める
適切な割合は、夫婦共働で小学生の子供二人
の場合、収入の約12%といわれています。
文科省「平成24年度子供の学習費調査」と日本
学生支援機構の「平成24年度学生生活調査」に
よれば、幼稚園から大学まで全部公立で769万円
、全部私立なら2205万円かかる計算です。
日本で少子化が進み、子どもが育つ環境が悪化
している背景には、出産・子育て世代に余裕が
なくなっていることがあるといわれます。
ここ10年ほどは経済環境が厳しかったため、企業は
人員削減を進め、一人当たりの仕事量が増える
傾向にありました。そこに保育サービスが整備された
ため、長時間労働が助長された面もあります。
”これまでの少子化対策は、男女雇用機会均等法
の施行をふまえ、子どもがいても女性が男性並みに
働けるように、保育サービスの整備に重点が置かれ
てきた。
その結果、出産・子育て世代の労働時間が増える
と共に精神的なストレスも増え、子育てにかける
時間が減っているだけでなく、子どもとゆったりと向き
合う精神的余裕もなくなっている。
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