”新聞記者だった歌人、松村由利子さんに
<通勤の心かろがろ傷つかぬ合成皮革の鞄に詰めて>
という一首がある。
朝の出勤途中に詠んだものだ。
<心かろがろ>と言っているものの、それは反語であり、
実は職場での葛藤で心が傷んでいることが察せられる。
それ以上傷つかないように、丈夫な鞄にでも心を収めて
おきたかったのだろう。懸命に強い心になろうと気を張って
いる姿が垣間見える。
きょうから新年度。企業や官庁で若者たちが新社会人
として働き始める。まだむき出しの心は慣れない仕事、
人間関係で傷つきやすい。
これから長い人生を歩み出す。そこには浮き沈みがあり、
道は平たんではない。でも、むやみに一喜一憂しなくて
もいい。
何かと「主体的に生きろ」との声が聞こえてくるが、そう
できる時ばかりではない。巡り合わせがあり、人生、
受け身の時が大半だ。運は変えられなくても、気の持ち
ようで幸か不幸かは自分で決めることができる。
厳しい時はじっと身をかがめてやりすごすことが大切で
ある。わが身を振り返っても、失敗や苦い思い出は限り
ない。心軽々と自宅を後にすることばかりではないだろう。
松村さんが心をしまった鞄は、自分なりの希望に見えた
のかもしれない。若い人たちも希望に思いを託し、柳の
ように心折れないしなやかさをと思う。”
山崎武也氏(国際ビジネスコンサルタント)はこう言って
います。
「人生は生きていく過程である。人は生まれて生きて死ぬ。
生まれるという出発点と死ぬという最終の場面は、いずれ
も一瞬だ。その間の過程がもっとも重要な関心事である。
それをきれいに生きるかどうかによって、人とその人生の価値
が決まってくる。人間にとっては過程が重要なのである。
仕事には利がつきものである。しかし、つねに仕事の原点
に返って考える習慣をつけて、利にふりまわされないように
するのだ。
それが仕事の品格を高めていくことになり、ひいては自分
自身の品格の向上と維持につながっていく。」
周囲を大きく見ていけば、日本から世界、地球から宇宙へ
と考えが拡がるもの。
宇宙の広大さを感じられることで、自己の小ささもわかり、
無力ととらえずに力を尽くすことの大切さを思えます。
自分の仕事を宇宙の広大さとの対比において考えること。
自分の仕事の品格を高める上で、とても大事なことと
実感です。
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