ブルックス ブラザーズ の再生を願う

1818年創業という偉大な伝統を持つ米国のブルックス ブラザーズ グループ インクは、今月8日、米国連邦破産法第11条の適用を申請したことを発表した。日本国内のメディアでも大きく報道されている。


法律名に破産の二文字が入っているため、倒産したように思われがちだが、実は意味が異なる。連邦破産法第11条は、通称「チャプター11」と呼ばれる。

第11条のタイトルは、“Reorganization”(更生)であり、申請による手続きでは経営破綻した企業を消滅させることでなく、経営陣は事業を継続しつつ再建を進めていくというもの。日本の「民事再生法」に相当する。

『新型コロナウイルスの影響による店舗の営業休止が響いた。

ブルックス・ブラザーズは創業200年を超える老舗で、ビジネススーツやネクタイなどのブランドとして世界的に有名。1890年代に初めてボタンダウンのカラーシャツを発売し、米金融街ウォール・ストリートなどでビジネスマンのキーアイテムとして人気を集めた。

米国では大手衣料品店や百貨店の経営破綻が相次いでいる。新型コロナの影響が色濃くなった3月以降、衣料品のJクルーや百貨店のニーマン・マーカス、JCペニーなどが相次ぎ破綻した。

ブルックス・ブラザーズも北米の約250店が一時休業に追い込まれ、現在も多くの店が再開できていない。米メディアによると、6月に経営悪化により米国内の3つの工場を閉鎖する可能性があるとの見通しを示していた。』(引用元:日経新聞7月8日)

日本での合弁会社になる株式会社ブルックス ブラザーズ ジャパンは、「単独の法人として運営されており、これにより直接的な影響を受けることはございません。日本国内のブルックス ブラザーズ店舗やオンラインショップについては、通常どおり営業しております。」との声明を発表した。


私が中学2年であった1979年、ブルックス ブラザーズは初の海外進出店舗であり日本の旗艦店となる青山本店をオープンした。日本では多くのアメリカ文化同様に、このブルックス ブラザーズをとても好意的に受け入れられた。そして憧れのアメリカンクラシックスタイルの殿堂となり、店舗は全国に展開されていった。


雑誌「POPEYE」を通してトラッドファンに育っていった私は、ブルックス ブラザーズのブランドに憧れ、1981年初めて青山本店に入った際は、あまりにも素晴らしい品々を前にして、まるで地に足がついていない間隔を覚えたのが懐かしい。1992年に入手した非売品の小冊子は、現在も大事に保管している。

ファッションイラストレーターの綿谷画伯が言われるように、ブルックス愛に溢れた買い手が現れて、そしてこの素晴らしい伝統を継承し発展させていくことを切に望む。

1818年、ヘンリー・サンズ・ブルックスがニューヨークで既製服の小売店をスタートさせた時から、「最高品質の商品だけをつくり、取り扱うこと。またその価値を商品に求め、理解できる顧客とのみ取引すること」を掲げてきたブルックス ブラザーズ。


200年の時を超えて今尚、創業の基本理念にもとづいて、最高品質の生地を用いて卓越した技術でつくられた衣類や幅広い商品を提供し続けている。サウスウイックやガーランド、ロングアイランドシティの工場には、このMade in USA  を支えてきた素晴らしいクラフツマンシップが残されている。今後企業再生となり、最新デジタルを取り入れながらも優れた職人技術が継承されていくことを願う。

尚ささやかながら、私がブルックス愛に目覚めた高校生時代から、これまで大事に集めてきたブルックス ブラザーズの製品をこちらで披露している。よろしければご来館を!

https://muuseo.com/cremony#entrance

”人と自然を調和しながら『持続可能な未来』を共創する”