ケチカンでは、先住民の長老として町の人達から尊敬されている
エスター・シェイさんに出会うことができたのも、
この旅での大きな喜びだった。
そのきっかけは、ふと入った土産物屋の壁に掛かっていたラグを
購入したことからだった。
妻がとても気に入ったそのラグには、北極の大地に朝日が登りはじめ、広場に白クマやカリブー、ムース、オオカミ、アザラシなど
北の動物たちが集まり、白い鳥が飛んでいく方向(希望や平和という方向)
に向かい、全ての動物たちが眼差しを向けている絵が描かれていた。
店の人から旅の目的などを聞かれ、星野道夫という写真家を
尊敬しており、この旅で彼のゆかりの場所を訪れ、彼のことを知る人たち
にお会いしてお話を伺うことができたらと旅していることを話した。
そして持っていた「森と氷河と鯨」 の本を見せた。すると、店のオーナーは、エスター・シェイを知っているといい、
彼女に電話をかけると私達を紹介してくれたのだ。
翌日大雪の降る中、訪れた私たちをとても歓迎してくれた。子ども時代のことや先住民文化など、いろいろな話を伺うことができた。
突然、彼女は誰かに電話をかけ始めた。
「ウイリー、私だよ。・・・」
息子であるウイリー・ジャクソンさんに、私たちのことを
紹介してくれた。フェアバンクス、シトカをまわったあと、
1週間後にケチカンの町に戻ってくるこの日本人夫婦に
会ってみようと、彼はエスターさんに話してくれた。
翌日、アンカレッジ経由でフェアバンクスに向かうはずが、
大幅にフライト予定が遅れ、空港に6時間も足止めを食らってしまった。
現地には今日中に着けるだろうかと不安が膨らんでいく私達に、ランゲルに住む牧師の方が親切に話しかけてくれたことで、
気持ちが落ち着いた。
あと30分ほどでチェックインが可能になりそうだという
アナウンスが入ったその時、突然男性が現れた。
それはウイリー・ジャクソン氏だった。
「君たちがここにいるだろうと思って会いに来たよ」
そう言うと出会いをとても喜んでくれた。
本来なら、1週間後に会うはずであった彼は、飛行機が
遅れていたことは知らず、君たちがここにいるだろうと
確信して来たと言っていた。
なぜ確信できたのか、その時は不思議でならなかった。
その謎は、旅の終わりにケチカンに戻ったときにわかった。
偶然ではなく必然なことだったのだと。
そう言うと出会いをとても喜んでくれた。
本来なら、1週間後に会うはずであった彼は、飛行機が
遅れていたことは知らず、君たちがここにいるだろうと
確信して来たと言っていた。
なぜ確信できたのか、その時は不思議でならなかった。
その謎は、旅の終わりにケチカンに戻ったときにわかった。
偶然ではなく必然なことだったのだと。
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