『古い種子は生命の芽を内部に持つ』

「人生を達成していく途上では、常に反対に出会う。
しかし、それは、前進するために、必要なことである。

川の流れは、絶え間ない土や、石の妨害があるから
こそ、その土や石の間をぬって流れ続けることができる。
川岸を作っているのは、まさにこの土や石だからだ。

起こってくることを受け入れ、それをよいものにしていく
精神こそ、人生の達人のものである。」


 












ラビンドラナート・タゴールは、 近代インド最高峰
の詩人、思想家。

アジアで始めてのノーベル文学賞
を受賞。 
詩聖として尊敬される他に、 音楽・戯曲・小説・
絵画・思想・ 哲学など、あらゆる面で優れた才能
を開花させました。 

その深い智恵と高い精神性は、多くの人達に
多大な影響を与え続けています。

自然教育にも力を注ぎ、シャンティニケタン(平和
の郷)
に、タゴール国際大学を設立。またインド
国歌・バングラディッシュ国歌の作者で
もあります。

インドの詩聖タゴールについて、日野原重明先生
こう語っています。

『81歳になる前、彼は「最後のうた」を作りました。

次の誕生日には、私はこの世にいないであろうという
書き出しで始まり(実際、彼は次の誕生日を目前に
して亡くなったのです)、与えるべき全てを与え尽くした
ので、今はからっぽになった頭陀袋を背負っている。

その返礼として愛と赦しが得られるのなら、私は
それを携えて旅立とうという、心が洗われるような
詩です。

そして死の近づいた者に大切なのは〔こころの友〕
であるという意が込められています。

又、人生は川のようなものでだんだん海(死)に
向かって流れていくという考えを書いています。

この人間の魂が死後も永遠の世界にずっと続くと
いう考えは、東西が合一する宗教的なものの
考え方です。

現代は感性の乏しい世界が展開しています。
一体どうすれば人は感性豊かになれるの
でしょうか?

















それを考えてみて私が気付いたことは、
人間の命を素晴らしい感性で表現した作家に
触れることによってそれが私たちに可能になる
ということです。

タゴールやリルケ(オーストリアの詩人)などの
作品を通して彼らの素晴らしい感性のひとかけら
でも頂いて、私たちの感性を豊かに育てて
いきたいものです。』


タゴールのすばらしい詩を紹介します。

『いまから百年後に、わたしの詩の葉を、
心をこめて読んでくれる人 君はだれかー

いまから百年後に。
 
早春の今朝の喜びの仄かな香りを、
今日のあの花々を、
鳥たちのあの唄を、

今日のあの深紅の輝きを、
わたしは心の愛をみなぎらせ
君のもとに届けることができるだろうかー

いまから百年後に。

それでも、ひととき君は南の扉を開いて
窓辺に座り、遙か地平の彼方を見つめ、
物思いにふけりながら心に思いうかべようとするー

百年前の、とある日に、ときめく歓喜の
ひろがりが、天のいずこよりか漂い来て、
世界の心臓(こころ)にふれた日のことをー 

いっさいの束縛から解き放たれた奔放で
うきうきした若やいだ早春(ファルグン)
の日のことをー 

羽ばたく翼に花粉の香りをいっぱいのせた
南の風が、にわかに吹き寄せ
青春の色調で、大地を紅く染めたのをー 


”人と自然を調和しながら『持続可能な未来』を共創する”