『消費者が動かす、医療の仕組み向上』

「ロンドンの公共交通事情は非常に悪いため、
多くの通勤客は不満に思っています。

そうした中で、ロンドンのICカード乗車券を
使って地下鉄やバスに乗車したときに位置情報
が記録され、移動頻度などに応じてポイントが
加算されて、

他のユーザと競い合うソーシャルゲームが提供
されるようになり、通勤客は不便な公共交通機関
に乗る苦痛をゲームで和らげるようになりました。


 

















すると、ロンドンの通勤客に本当の意味で必要な
改善策は、公共交通機関のサービス自体の大幅
な改善であるはずなのに、“このゲームはロンドン
の通勤客が待っていた改善策だ”とメディアが
賞賛するまでになってしまった。」
 http://diamond.jp/articles/-/34257

IT政策はイノベーションや経済成長の促進のため
に必要不可欠
であり、それ自体は正しいが、
「ビッグデータ」など流行りのバズワードを振り
かざしてIT政策を喧伝する政策の議論は、本質で
ないと喝破される岸博幸さん。

見栄えを良くしようと衣ばかり派手にする従来型の
やり方
では、無駄な税金の消費ばかりで、決して
問題の本質に対する解決にはなってこなかった
ことを私たちは知っています。

「“健康・長寿”で国民の安心を確立するには、
医療や介護、年金といった制度自体を大幅に
改革しなければいけないし、

また地域医療の立て直しのためには地域病院
の配置や医師の確保など体制面にたくさんの
課題があります。

“健康・長寿”という国民の安心のためには、
まず制度や体制を大幅に変えなければなら
ない。」
 



















医療費が右肩上がりで増えており、国民が年間
に使った医療費の総額を示す国民医療費は、
2010年度で37兆4202億円
になっています。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2703B_X20C12A9EE8000/

病気やけがをしやすく、薬を必要とする高齢者
の絶対数が今後さらに増える中で、医療費は
右肩上がりに
なることでしょう。 

有能な専門医を擁し、日本を代表するような
特定機能病院の多くが経営的には赤字

あるという事実。

日本の医療システムが質の高い医療サービス
を潤沢に供給できないことを示しています。

日本の医療の質的な向上を阻んでいる原因
は、診療報酬システムに技能向上の誘因が
欠けること
であり、より専門的で高度な医療
を提供するほど、経営的には赤字になって
しまう仕組みそのものにあります。

”「毎日たくさんの患者を診ているけれど、
病院経営を含めて現揚の状況はいっこうに
よくならない」
病院勤務医である私の知人はぼやく。

以前から言われてきたことであり、「もう聞き
飽きた」という人も多いかもしれない。

しかし、現揚の医師は懸命なのに医療の
ほころびが目立つ、といった矛盾はますます
大きくなっている。

システム(仕組み)が悪いせいではないか、
こう思えてならない。」
 

これは医療現場に従事される方のご意見。
大切なのは、「供給者から需要者に重点を
移すこと」でしょう


現行の医療の仕組みは消費者(患者)のこと
を考えない最たるものであり、実はこれ日本
を含めて、世界共通のこと
らしいのです。


レジナ・E・ヘルツリンガー著「消費者が動かす
医療サービス市場」
からそのことがよくわかります。

氏は、ハーバード大学経営大学学院教授であり
、各国で医療にきしみを生じているその理由を
語っています。

「理由は明白である。
世界の医療制度が消費者以外の第三者に支配
されているからである。

米国では保険会社が、欧州やアジアでは官僚
が握っている。

消費者の姿はどこにも見えない。」 

医療を良くするには、消費者主権の市場を生み
出すメカニズムに尻込みする"専門家"の手に
委ねるのではなく、消費者の声が反映する仕組み
をつくらなくてはならない
、とレジナ氏やこの本を
翻訳した岡部陽二氏は言います。

「ビッグデータ」など単にITを喧伝する見かけの
政策などでなく、医療の制度改革、質の向上という
本質の課題解決を行う仕組みを見直すことが大切


自分や家族など大切な方の生命、健康に深く
関わる医療の問題。
さらに関心を持っていこうと思います。


”人と自然を調和しながら『持続可能な未来』を共創する”