『数値はそもそも何のためにあるのか?』

「学校は、生きている。毎日くるくると優先順位
が変わる」

山口照美さんは今年4月から、公募により大阪市
敷津小学校の校長
となりました。
0歳児を含む2児の母。

日経新聞デジタル版に掲載中の「子育て校長だから
わかること~ママ世代公募校長奮闘記」は、
リアル子育て世代の女性民間校長が直面する
様々な問題
から、働く女性の現在と未来像が
見えてきて大変興味深いです。


"私の目標は「経済格差を教育格差にしない」
学校づくりだが、現場にはそれぞれに優先課題
がある。

学力向上策に手をつける前に、睡眠不足で
眠そうな子が多ければ、生活習慣の見直しから
始めなければならない。

子ども同士のトラブルが多ければ、「自分も相手
も尊重する気持ち」を育てる必要がある"

山口さんが最も悩ましいものとして、「数値化
できない教育効果」
を挙げています。

さまざまな数値を記入しながら、仮に結果を出した
ところで意味を持たない数字に悩まされるそう。

例えば・・・正答率・アンケートで「算数が好き
ですか」に「はい」と答えた児童の割合・授業
アンケートの結果


しかし・・小規模校である敷津小学校では、
1人の欠席や転出入で数値が大きく左右される

また、学力が高い小学校のデータと通塾率の
関係は無視される
中学受験率の高いエリア
では、基本的に数値が高い


それを無条件に「学校の授業力」と考えるのは
おかしいといいます。

















"授業中、じっと座って話を聞けなかった子が
落ち着いて学習できるようになった。

コミュニケーションに自信の無かった子が、
友だちと協力できるようになった。

発表のできなかった子が、堂々と自分の意見
が言えるようになった……。

小学校に来て3カ月半、1人ひとりの成長に
驚かされ、小学校の教育力に感動する場面
がたくさんあった。

職員室には、「あの子がこんなことができた」
「こんな場面を見た」という会話が飛び交う。
それを校長席で聞いているのが、大好きだ。”

校長として初となる「自然体験学習」に5、6年生
を連れて出かけた際に、現場で感じた子どもたち
の成長、プロの指導者による現場運営力


その価値を実感する一方で、「数値目標」
「費用対効果」「民営化」の言葉の下に、
利用した施設が廃止されるかもしれないと
いう現実
を知ったそうです。

”「数値」はそもそも何のためにあるのか?
どのように利用するのが適切なのか?”
 


かつて私も企業の環境CSR活動の現場に
身を置く中で、何度も考えさせられた重要な問い。

森林生態系保全の活動において、単に
「定量的」だけでなく「定性的」な目標や結果の
判断を大事にしよう
としてきました。

現在は、教育プロジェクト「ネクスファ」で、
小中学生に持続可能性をテーマとする「サス学」
教えるようになりましたが、定量と定性のバランス
はやはり大事だと思っています。

公と民間という役割の区別もふまえつつ、どこか
なおざりにされがちな利用者(子どもたち)のこと
を、一番に考えることが大事
と思いつつ、
山口さんの今後の頑張りに期待したいものです。

(参考)日経新聞:「数値化できない2泊3日の
教育効果 ~ママ世代公募校長奮闘記(6)」
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK21007_R20C13A7000000/?n_cid=DSTPCS004


”人と自然を調和しながら『持続可能な未来』を共創する”