「山の頂きに登ってこそ見える景観がある」
静岡、山梨両県は、今年夏に富士山で試験
徴収した入山料のアンケート結果を発表。
静岡、山梨両県は、今年夏に富士山で試験
徴収した入山料のアンケート結果を発表。
それによると、約3,200人の回答中、79%が
導入に賛成で、45%が1人「千円~2千円未満」
が妥当と答えました。
試験徴収では、登山口で1人千円の協力を呼び
かけ、約3万4千人から約3,400万円が寄せられた
そうです。
下山者から聞いた入山料への意見では、69%が
「すべての登山者から同じ金額を徴収」を支持し
、その使い道は「ごみ処理などの美化清掃活動
の強化」が47%で最も多かったといいます。
両県は、年内に入山料や徴収方法の概要を決めて
、来夏の本格導入をめざすとのこと。
私はかつて2000年夏に、環境省のサブレンジャー
として約3週間、富士山頂で過ごした貴重な
体験があります。
毎朝5時に小屋を出発し、山頂から7合目へ
下りると、仲間たちと共に黙々とクリーン
アップをしつつ山頂へ戻ります。
途中には、いつの時代に棄てられたのか
不明な古い空き缶や空き瓶、ペットボトル、
紙クズなど、心ない登山者たちが落としていった
様々なゴミを拾っては、背中の籠や片手に
持った袋に入れていきました。
毎日拾っても拾っても減ることのない、霊峰富士
のゴミに憤りを感じたものです。
戦前に建てられた環境省の相当古い小屋で
寝泊りをしていました。
部屋は2つ、3畳と4.5畳が中で分けてあり、
5人のうち2人&3人に分かれて中に寝袋を
引いて就寝。
4.5畳の部屋は雨漏りのため部屋の中に
テントが張られていました。
(私は面白がってそこで寝ていました)
もちろん風呂はなく、夏でも山頂に残っている
雪をバケツに入れて、小屋の小さな台所で
お湯を沸かしてはタオルで体を拭いていました。
朝のクリーンアップから戻ると、拾ったゴミの
仕分けを行います。
その後朝ご飯を食べて、晴天の時は必ず部屋
にある薄い布団(寝袋の下に引いていたもの)
を屋根の上で天日干し。
少し休憩すると、今度は御鉢周りで山頂を一周
しながらクリーンアップ。小屋付近や人の集まる広場
はとにかくゴミが多い状況。
その後昼食をとり、だいたい3時頃となって後は
大休憩。
山頂から下界を見下ろしては富士山の大自然や
、日本の自然の現状と人々の意識や行動のこと
などを考え、仲間たちとよく議論をしたものでした。
今から思うと純朴で素敵な時間。
あれから13年が経ちました。
その間に環境省の古い小屋は破棄されたと聞きます。
散乱するゴミやトイレの処理問題などがあり、
世界自然遺産にはなれなかった富士山。
かつて山頂で過ごした日々では、いい意味でも
悪い意味でも、「山の頂きに登ってこそ見える
景観がある」ということをつくづく思いました。
今年、世界文化遺産となりましたが、富士山の
景観と環境を守るためには、ごみ拾いとともに
外来植物の駆除も必要。
富士河口湖町によると、この2~3年で外来植物
の「アレチウリ」が急速に数を増やしているそうです。
このままでは、河口湖岸に生える植物の4割が
北米生まれの植物に占められてしまう恐れがある
といいます。
富士山を望む湖の周辺を外来植物が繁殖して
いるという何とも取り合わせの悪い光景は
見たくありませんね。
日本人、外国人と富士山を訪れる人が増える中、
静岡と山梨の両県による入山料徴収を環境保全
にどのようにあてるかが注目されます。
今後も確実視される観光客増と景観と環境の
保全をいかに進めるのか。
バランス感覚が求められています。
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