『太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ』

”太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。
 次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。”
(三好達治「雪」)


昨日の予報通り、明け方から降る雪は街を銀世界に
変え続けている。


先日の誕生日で、50歳の一歩手前となった私。
雪景色を見つつ、いろいろなことが脳裏に浮かんで
きます。

冒頭の「雪」の詩に、五箇山を思い出しました。
数年前のお正月に家族で訪れた雪の「五箇山」。

雪の多い北陸でも、特に豪雪で知られるこの地域は、
同じ世界遺産でも白川郷ほどの観光客はおらず、
今なお昔のままの佇まいを残している
合掌造りの集落
でした。


富山県南西部に位置し、かつては「陸の孤島」と言われる
中で、人々は互いに助け合いながら何代にも渡って
生活し、豊かな自然の恩恵を頼りに生きてきた
といいます。

山深く、冬は1階が雪に埋もれるほどの豪雪地帯で、
古来より人と人が助け合わなければ生きていくのが
難しかった土地。

大きな合掌造り家屋の屋根の葺き替えには、
多くの人手が必要になりますが、「結」と呼ばれる村人の
相互扶助の仕組み
により、今も合掌集落を守り続けて
います。

世界遺産の理由として、合掌造りの優れた建築美の他、
田畑やあぜ道、石垣など、「昔ながらの景観が維持されて
いること」
とついつい思いがちですが、

景観だけではなく、この地に脈々と受け継がれてきた
食や暮らしの文化を含めた「五箇山の生活そのもの」
が世界遺産
なのだということを実感しました。

この冬もまた「五箇山」には多くの雪が降り、
その大変さを受け入れて日々の暮らし
を村の方たちが
営んでいることでしょう。

一年に数回の雪を珍しがる街中に住む私など
及ばない、よほどの逞しさを持つ人々とそれを
育み続ける自然、文化


白色の中に尊敬の念を持ちます。

 

”人と自然を調和しながら『持続可能な未来』を共創する”