”真の智者には、動中おのずから静があり、
真の仁者には、静中おのずから動がある”
かつて「論語で一生を貫いてみせる」と、若き日に
決意した大経済人がいました。
幕末から明治、大正、昭和初期の時代を生き抜き、
500もの会社設立に関与して、日本経済界に
偉大な足跡を残した、渋沢栄一翁。
真の仁者には、静中おのずから動がある”
かつて「論語で一生を貫いてみせる」と、若き日に
決意した大経済人がいました。
幕末から明治、大正、昭和初期の時代を生き抜き、
500もの会社設立に関与して、日本経済界に
偉大な足跡を残した、渋沢栄一翁。
栄一翁は、若き日に「論語」から導き出した、
道徳に基づく経済哲学による「経済開化」で、
社会に大きなリーダーシップを発揮しました。
近代化に必要な人材を育成し、株式会社
組織による企業の創設・育成に努め、
その根底には「論語」、道徳を用いたのです。
戦後教育による知識偏重型の教育制度、
市場重視型経済のグローバル化などにより、
日本人がかつて強みとしてきた「社会の和」
は弱められてきました。
「一人では弱いが、集団になると力を発揮する
日本人」という評価につながるチームワークの
母体となり、トップダウンとボトムアップが
ほどよく調和する精神。
これこそが、「人の和」を重視する「右脳型」で、
日本人はもともとこの脳タイプであると、篠浦伸禎
先生(都立駒込病院脳神経外科部長)が
言われています。
しかし現在、この強みは残念ながら薄れつつ
ある状況。
代わりに、厳密な一つの基準を持ち、その範囲内
でより良くあろうとする一義的な働きを追求する
「左脳型」が日本社会で多く見られます。
むろん時代の状況変化に応じて、既存の仕組み
はうまく変えていかなければなりません。
しかし、肝心の身の丈に合った強みの源泉まで
変えてしまっては意味がないもの。
「右脳による多様的センスで、社会において様々な
刺激を受けて調和をとりつつ、左脳による進歩的
センスで社会を作り上げるために努力してきたの
が人間」(篠浦伸禎氏)
人間ならではの左右の脳が弱まり、動物的な不安
と情動の脳がむきだしになっている、只今の
日本社会。
私は篠浦先生から個人的な師事を受ける中で、
「自力による自己実現と自己救済」を説く論語の
心学や人間学の大事さを都度痛感しています。
例えば孔子の仁・義・礼・智・信の文言には、
数々のストレスの原因となる人間脳と動物脳の
バランスをとる要素があり、五常を中心とする
論語が脳にはたす役割とその大切さがよくわかります。
「敵が弱いと見るやわがままになり、強いと見るや
卑屈になるのは動物脳の悪い癖です。
そのような態度をとった瞬間に、脳は緊張感を失い、
人は破滅への道を歩み出します。
わがままにも卑屈にもならないために、必要なのが
「礼」です。
人に悪く思われたくないという表面的な礼儀正しさ
ではなく、常に頭を下げて物事や人から謙虚に
学び、学びに感謝することです。
「礼」を備えれば、自然に動物脳がコントロール
され、適切な判断ができるようになります。」
篠浦先生が説かれる、動物脳が元気でありながら、
それを人間脳がコントロールしている状態を目指し
たいもの。
渋沢栄一翁の息子にして、実業家としても有能で
知られていた、渋沢正雄氏が大学卒業を間近に
控えていた若き日の永野重雄氏(新日本製鉄会長)
に語った言葉。
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