『コロンブスの新航路発見がもたらしたもの』

ハイチ沖で見つかった沈没船の残骸。 

探検家クリストファー・コロンブス
1492年米大陸
に到達
した際に乗っていた船団の旗艦サンタマリア号
ではないかとの報が流れています。

専門家からは「断定するには早すぎる」と慎重意見も
出ているようですが、興味深いもの。


イタリアのジェノヴァ出身のコロンブスは、大航海
時代
キリスト教世界の白人としては最初に
アメリカ海域へ到達したひとり
として有名。

その彼は「冒険者」と「侵略者」としての二つの顔
を持っています。

前者について、米大陸の第一発見者ではないものの、
大西洋横断航路を開拓したことは事実。

後者について、彼が二度目に上陸した際、艦隊を
率いて数年にわたり先住民への虐殺を行い、
その人口を激減させた
のもまた事実。

コロンブス一行が上陸すると、先住民たちが現れて
歓迎
したといいます。彼らは、温和な性格で一様に
裸で金の鼻飾り
をしていました。

彼らが快く迎えた理由は、一行が空から使わされた
神の使い
だと思ったからでした。

ところが、一行は先住民たちを黄金採集目的で
奴隷化
し、生活権を奪いました。そのため先住民
たちは飢餓に陥り、疫病が蔓延し、大きく数を
減らし
ます。

一度目の航海からスペインに帰還したコロンブス。
これを歓迎して宮殿では盛大な式典が開かれたと
いいます。

彼は航海に先んじて、発見地の総督職、世襲提督
の地位、発見地から上がる収益の10分の1を貰う
契約
を交わしていました。

取り決めに従い、コロンブスは先住民から強奪した
金銀宝石、真珠などの戦利品の10分の1を
手に
入れたのです。


そして、二度目の航海目標としてスペインの権力者
たちにこう述べました。

「必要とするだけのありったけの黄金、欲しがる
だけのありったけの奴隷を連れてくるつもりだ。
このように、永遠なる我々の神は、一見不可能な
ことであっても、主の仰せに従う者たちには、
勝利を与えるものなのだ」

1493年、ローマ法王勅書によりスペインは新大陸
を探検し植民する独占的な権利
を手にします。

コロンブスの新航路発見
は、以後の歴史に大変化
を持たらした衝撃的な事件でした。

新航路が発見され、新大陸の存在が明らかに
なると、旧大陸から続々と入植者がやって来るよう
になりました。

聖書を携えた宣教師や農民、いろいろな職業の
民間人、武器を構えた軍人
など、その数は途方も
ない数であったといいます。

その結果、布教や体の良い名目のもとに植民地
争奪戦
が繰り広げられ、途方もない多くの人間が
殺され奴隷にされたのです。

金や宝石を掘り出すために鉱山で働かされた者
はわずか2年ほどで死んで
しまったといいます。

当時、メキシコ半島に3千万人ほどいたと思われた
人々は、わずか20年足らずの間に10分の1以下に
まで激減


半世紀足らずの間に、マヤ、アステカ、インカといった
高度文明が滅ぼされ、住民は虐殺されたのでした。


コロンブスが新世界に持たらしたもの。
それは、恐ろしい伝染病と大虐殺といえます。

そしてまた、コロンブスほど栄光とどん底を同時に
味わった人間
もいません。
絶頂期では大提督ともてはやされ、名声と富を好きな
だけつかみ取ったと思えば、その数年後には急転直下。

反逆罪で足かせをはめられ囚人のように捕らえられた
のです。

最初のうちコロンブスの計画を荒唐無稽なものとして
嘲笑った連中は、彼が大成功を治めるようになると、
たちまち、ねたんで敵に回りました。

そして、新大陸では黄金を手に出来るという噂が
流れると、人々は先を争って押し寄せたのです。

これほど人間の物欲と現金さを物語っている話は
ないですね。冒頭の報に接して、人間の歩んできた
歴史
を思いました。


”人と自然を調和しながら『持続可能な未来』を共創する”