昨晩のクローズアップ現代、「四国遍路1400キロ
増える若者たち」はとても興味深い内容でした。
増える若者たち」はとても興味深い内容でした。
”四国八十八ヶ所の霊場を巡る四国遍路。
1200年前に弘法大師・空海が開創して以来、
脈々と受け継がれてきたこの巡礼の道を、
年配の人たちに混じって、いま、歩く若者達
が増えています。
ここ10年の間に、10代~30代の若者達が、
およそ1割を超すほどになったとか。”
特に目立っているのが、若者たちによる歩き遍路。
1400キロの道を必要最小限の荷物を持ち、
自分の足でひたすら歩く若者たち。
1日30キロのペースで歩いても40日以上かかる
厳しい道のりです。
八十八ヶ所霊場を弘法大師・空海が開いてから、
今年で1200年。
時代が変わっても脈々と続いてきたお遍路。
さまざまな人生を送り、さまざまな思いを心に
抱きながら、多くの人々が歩いてきた巡礼の道
を、なぜ今若者たちが歩いているのか。
番組では、四国遍路を歩く二人の若者に密着。
そのうちの一人、赤木さんは18歳。
思春期のころから自分には、いいところがないと
思いがちで受験の面接でもうまく話せませんでした。
その一月後、遍路の旅に出たのです。
「やっぱり自分に自信がないですし、このまんまじゃ
いけないなと思ってこっちに来たら、なんかいろいろ
変われるかなと思って。」
自然の中に抱かれて黙々と歩く若者。
遍路の途中で、お接待を受けたり同じお遍路の方
たちと親しくなったり。
そうした時間の中で、彼の心は次第に、
しなやかに開いていきます。
歩き始めて34日目。
愛媛で最も険しいといわれる山道に挑んでいました。
高知では足を気にしながら歩いていた赤木さん。
愛媛では休憩せずに歩き続けていました。
ごつごつした山道を一定のテンポで進んでいきます。
赤木さんが自分のことを話し始めました。
「慣れてきて、余裕が出来ていろいろ考えられるようには
なったかなと思います。
帰って、どうやってこれから1年過ごそうかなとか
まあ、まだ考えまだ、どうしようかは出てないんですけど
一応ちょっとずつ考え始めました。」
翌日。赤木さんは休憩所で休むことにしました。
地元の人が自宅の一部を開放してお遍路さんに
お接待を行っている場所です。
見も知らぬ人に食事をごちそうになるのは、
遍路に来るまで経験したことがありませんでした。
休憩所の主人は自分の昼食に用意していた材料
で、赤木さんの分の食事も作り始めました。
「ありがとうございます。はい、どうぞ。」
赤木さんが歩き始めて42日目。
女体山の10キロ以上にわたる長く緩やかな上り坂。
四国遍路、最後の難所。この山を越えれば最後
の札所です。
1400キロを歩き切りました。
結願(けちがん)です。
赤木さんの長い旅が終わりました。
「実際、歩きで回ることもできてるので、そんな
無理に自分のいいとこ、見つけようとか考えなくても、
今のまんまで頑張ってればいいのかなっていうのは、
思えるようにはなりました。」
巡礼の道を歩き終えた赤城さん。
自分のよいところは見つからなかったけれども、
頑張ってる今の自分のままでいいんだという言葉を
発する表情は、とてもすっきりしていました。
四国を一周ぐるりと囲むように点在する、弘法大師
空海ゆかりの八十八の札所寺院。
それらを繋ぐ道はたくさんの人々によって何度も何度も
歩かれてきました。
それぞれの道はそれぞれの「生き方」。
同じ「道」はひとつもないといいます。
番組のゲスト、大日寺住職の真鍋俊照さん、
作新学院大学教授の福島明子さん、
それぞれのコメントがとても印象的でした。
「必死で歩いて、限界を感じる。体を酷使し、
自分の体と向かい、お遍路を歩く体ができたときに、
余裕ができ、自分のことを考えられるようになった。
そうした中、周りからお接待を受け、受け入れられて
いく。そういう中で自分を肯定して自己受容できた
のではないか。
お遍路の間、接待を受け続けると、帰ったらほかの人に
お返ししようという気持ちが生まれる。
それが日常生活の中で困っている人を助けるという
ことができるようになる。」
「まずは自分の体と向き合って体と心がつながる
という経験。
それから地元の方のお接待を受ける中で、
地元の方とお遍路さんのつながり。
それからお遍路さんどうしのつながり。
さらには、自然豊かなお遍路の中を歩く中で、
地に足を足をつけて歩いて山や川や海、歩いて
自然とのつながりというものも感じられます。
お遍路は、そういったさまざまなつながりを
回復することができるということですね。
今の社会は、成果主義であったり合理主義ですので、
何かができたからすばらしい、とか何かができないから
もう少し頑張って、とか条件の世界ですが、
このお遍路では無条件に受け入れられて、そして、
つながりを回復していけるのだと思います。」
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3518.html
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