第22回『神渡良平人間学』のゲスト、滝田栄さん
から、「五感の偈」(ごかんのげ)についてお話を
頂きました。
から、「五感の偈」(ごかんのげ)についてお話を
頂きました。
この「五観の偈」とは、禅の修行僧が食事を受ける
際、心の中に想念する反省と感謝の意を含む偈文
(教理)。
唐代の南山律宗の僧、道宣が著した「四分律行事
鈔」中の観文を、宋代に黄庭堅が僧俗のため約した
ものだといいます。
日本では道元禅師の著作「赴粥飯法」における引用
によって広く知られるようになりました。
僧侶の食事作法のひとつですが、道徳的普遍性の
高い言葉であるため、禅に限らず多くの分野で引用
されているようです。
「一には功の多少を計り、彼の来所を量る」
(ひとつにはこうのたしょうをはかり、
かのらいしょをはかる)
この食事がどうしてできたかを考え、食事が
調うまでの多くの人々の働きに感謝をいたします。
「二には己れが徳行の全欠を忖って供に応ず」
(ふたつにがおのれがとくぎょうのぜんけつを
はかってくにおうず)
自分の行いが、この食を頂くに価するもので
あるかどうか反省します。
「三には心を防ぎ過を離るることは貪等を宗とす」
(みっつにはしんをふせぎとがをはなるることは
こんとうをしゅうとす)
心を正しく保ち、あやまった行いを避けるために、
貪など三つの過ちを持たないことを誓います。
「四には正に良薬を事とするは形枯を療ぜんが
為なり」
(よつにはまさにりょうやくをことすれはぎょうこを
りょうぜんがためなり)
食とは良薬なのであり、身体をやしない、正しい
健康を得るために頂くのです。
「五には成道の為の故に今此の食を受く」
(五つにはじょうどうのためのゆえにいま
このじきをうく)
今この食事を頂くのは、己の道を成し遂げるため
です。
食事を受ける時、反省と感謝等、五つの教えを
観念するこの「五感の偈」は単に食事上のことのみ
でなく、日頃の生活全般についても当てはめること
ができるものですね。
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