『人類が生み出した有形遺産の集積庫』

”汝、いざ知識の中に進めよ”

大英博物館の入り口床に刻まれた、
英国の詩人テニスンの言葉。

「100のモノが語る世界の歴史」と題された
大英博物館展(東京都美術館)。














展示最終日、息子と二人で訪れ目にした世界
の様々な至宝たち


”英国・ロンドンにある大英博物館は、人類の
文化遺産の殿堂として世界中のあらゆる
地域と時代を網羅したコレクションを誇ります。

「大英博物館展一一100のモノが語る世界の
歴史」は、約700万点の収蔵品から選び出した
100の作品を通じて、200万年前から現代に
至る人類の歴史を読み解こうという試み。


選ばれた品々は、一見して何げない日用品
から教科書にも登場する芸術的な名品まで
多岐にわたります。

100の「モノ」たちは、それらを手にした人々の
日々の営み、信仰の対象、激動する社会背景
など、様々な「歴史の断片」を私たちに語りかけ
ます。”


次々と目に飛び込んでくる遺物に、私たち歴史
好き親子は知的探求心を揺さぶられ
、堪らない
時間となりました。
















メソポタミアの古代都市ウルで発見された
「ウルのスタンダード」
と呼ばれる箱や、
「アウグストゥス帝の胸像」、映画「ハリーポッター」
第1作に登場する「ルイス島のチェス駒」

古代エジプトのミイラの棺、ガンダーラの仏像、
内側に金箔が貼られた縄文土器、「ロゼッタ・
ストーン」
の原寸レプリカなど。

太古から現代までの品々を大英学物館が256年
に渡り世界中から収集
してきた、世界的にも大変
貴重な遺物
ばかり。

「世界屈指の博物館」と名高い大英博物館は、
260年間の歴史を経て、そのコレクションは700万点
を越える
といいます。

文字通り、人類の生み出した有形の文化遺産の
世界最大の集積庫
。その様は「モノによる百科
全書」
(文化人類学者・吉田憲司氏談)

吉田氏によれば、世界の博物館の間では今、
所蔵品の最終的な「所有者」ではなく、むしろ
「管理者」であり、本来の所有者や利用者との間
で、様々な協同作業を行う場であるという認識

が広がり始めているそうです。

















ダンカン・キャメロン氏
(美術史家)は、次の言葉で
語っています

”博物館・美術館のあり方には、テンプルとフォーラム
という、二つの選択肢がある。

テンプルとしてのミュージアムとは、既に「評価」の
定まった「至宝」を人々が「拝みにくる」神殿のような
場所、

フォーラムとしてのミュージアムとは、未知なるものに
出会い、そこから議論が始まる場所である。”


人・モノ・情報の交流が地球規模で進むグローバル化
の時代を迎えて、大英博物館はテンプルとフォーラム
の双方の性格を持つ
ように動き、所蔵品を様々な形
で社会に開こうとしているようです。

その動きが今後、日本の博物館・美術館によい刺激
を与え、活性化
させていくことを期待します。



 
















”人と自然を調和しながら『持続可能な未来』を共創する”