『分をわきまえつつ最大限善く生きる』

欧州連合(EU)の財政再建策の是非を巡る
ギリシャ国民投票

EU各国を中心に日本を含めて世界が注目した
その結果は、反対が6割を超え「NO」





















反対票の多くは、若者や低所得者層のようで、
賛否が拮抗するとの事前予想に反して大差での
「反緊縮」につながりました。

その背景には、緊縮策が深刻な失業や賃金低下
につながったとの不満
があるといわれています。

今回の国民投票の結果から、EU側との支援を
めぐる交渉は難航が予想
されており、ギリシャが
ユーロ通貨から離脱
することが現実味を帯びて
います。

ユーロ圏財務相会合のデイセルブルーム議長
は開票結果が出た直後、「ギリシャの将来に
とって非常に残念な結果だ。経済の回復には、
厳しい措置や改革が避けがたい」
との声明を
出しました。

ギリシャでは銀行の窓口が閉鎖され、ATM
での預金引き出しが制限
されている状態。
EU側との交渉が長引けば、お金の流通に支障
をきたし、経済がさらに混乱することになります。
ギリシャは債務危機に陥っていた2010年と
12年に、IMFから計約630億ユーロ(8・6兆円)
の支援
を受けており、現在は約210億ユーロの
借り入れ
が残っている状況です。

そのうちの15億ユーロ(約2千億円)の返済期限
であった7月1日、返済はなされずに延滞扱い

なりました。先進国で延滞扱いとなるのは初
(直近で延滞扱いとなっている国は、ソマリア、
スーダン、ジンバブエ
の3カ国)

延滞扱いというものの、これは事実上の債務
不履行(デフォルト)
と見られています。
ギリシャは延滞分の支払いを解消しない限り、
IMFから新たな融資などを受けられません。

混乱が続くギリシャ経済の状況ロイター通信は、
次のようにとても興味深く表現しています。

欧州大陸の周縁で起きている4つの大きな危機が
現在、欧州連合(EU)を飲み込む恐れがある。
戦後に始まった「1つの欧州」を目指すプロジェクト
は、数十年前に後戻りするかもしれない。”


この4つの大きな危機とはすなわち、
■ギリシャの債務危機
■ウクライナ紛争でのロシア
の役割
■英国のEUとの関係見直し
■地中海の移民問題

そして、これら4つの問題の1つでも適切に対応
できなければ、他の問題の悪化を招き、EUが
直面する危機は増幅されることになるだろう”

述べています。

今年初めに、米国の著名な政治アナリスト
イアン・ブレマー氏
が、2015年の10大リスク
予想の第1位に「欧州の政治」
を挙げていた
ことを思い出さずにいられません。

ギリシャはユーロ圏域内総生産とEU人口の
それぞれ2%
を占めるにすぎませんが、ユーロ圏
諸国はこれまで約2000億ユーロを支援
しており、
破綻すればEUにとって大打撃。

そうなれば欧州の他の3つの危機すべてを悪化
させ、不安定なバルカン半島諸国をさらに不安定

にさせる恐れがあります。

”人と自然を調和しながら『持続可能な未来』を共創する”