『21 世紀、人類の使命は人間の再定義』

米国の社会学者、アルビン・トフラー氏が亡くなった
との報。87歳。

1928年、ニューヨーク生まれのトフラー氏は、「情報化
社会」の実現を予想
したことで知られ、「世界で最も
有名な未来学者」(英FT紙)
と称賛されました。













ニューヨーク大学卒業後、工場の従業員を経て、
記者や著述業に携わります。

大胆な文明予測で知られ、情報化社会の到来
予見した著書「第三の波」が世界的なベストセラー
となりました。

「第三の波」の中でトフラー氏は、並外れた先見性で、
情報技術やバイオ技術が経済に与える絶大な効果、
製造方法やマーケティング、労働形態の変化
を予測
しています。

ニッチ市場が大きくなり、消費者の力が強くなると予見
し、生産者と消費者の融合を表わす「プロシューマー」
という新語を造り出しました。

90年に出版した「パワーシフト」では、支配者は財力
を持つ者から、知識・情報量を持つ者に移っていくと
予測。

トフラー氏の予測通り、テクノロジーの進化がもたらした
情報革命の中、私たち人類はかつて経験したことの
ないス ピードで動く変革の時代
に生きています。

2006年出版の富の未来」での言葉
“知識の質は変化し、量はものすごい勢いで増えて
いる。 そして、今までの知識の多くは死知識として
退化していく。そして社会の変化もどんどんとスピード
化していっている。” 

変化の研究の世界的第一人者として広く認められている
トフラー氏は、しかし決してありきたりの予言者の類では
ありませんでした。











「トレンド」や「予測」といった言葉を著作の中で使用しない

ように注意を払い、未来に何が起こるか正確に言い当て
られる人などいないと言っています。

トフラー氏がとりわけ優れていたこと、それは「変化がもたらす
影響を理解する力」
であったようです。

この理解力は、科学やテクノロジーや芸術に関する広く
深い知識の賜物
であるとともに、複雑な技術的・社会的
変化が私たちの固定観念や既得権に影響を及ぼしたとき
何が起こるのかを、詳細な分析から推論する能力
の産物。
ダイヤモンドオンライン「未来学者の中の未来学者」
2007年に放映された「未来への提言」田中直毅氏
(経済評論家)と対談したトフラー氏は、急激な
変革の波に洗われながら、現代社会を生きる私たち

、メッセージを語っていました。
「21 世紀、人類の使命は、人間を再定義すること
です。

今後、生物学、遺伝子工学、ナノテクノロジ―などの
分野は、目覚しい発展を遂げることでしょう。
それは人類の頭脳と力を劇的に向上させます。
私たちは新しい能力を手にするかもしれません。
次世代の人類となるかもしれません。あるいは何か
他のものとなっているかもしれません。

今後生物学や、脳科学によって、新たな問題が浮上
し、劇的な対立が起きることでしょう。私たちの倫理観
が問われています。

人類が互いに殺しあってはなりません。良心を失わず
、更なる知恵と、互いに、手を携えていく力を獲得
出来るよう、願っています。」
希望の持てる 21 世紀を切り開いていくために、
一人一人がそのヒントを探し出して欲しい。

トフラー氏からの未来への提言は、この時代を生きる
私たちへの大きなアドバイスです。

”人と自然を調和しながら『持続可能な未来』を共創する”