コロナ危機 未来の選択~エマニュエル・トッド~

NHKBS「コロナ危機 未来の選択~エマニュエル・トッド~」

を視聴。


これまで、ソビエトの崩壊やトランプ大統領の誕生を予言してきた

フランスの歴史学者・エマニュエル・トッド氏が語る、「新型

コロナウイルスの影響で、世界はどう変わるか」。

慧眼と知性から語られるその言葉は、大変興味深い。

悪化の一途をたどる米中関係やコロナの影響で、逆風が吹く

グローバリゼーション。「協調的な保護主義」を各国が築いて

いけるかが、今後の世界動向を左右する重要な鍵だという。


新型コロナウイルスの世界的感染は、各国で社会的弱者とされる

人々に強く被害をもたらしている。格差は問題を顕在化させ、

議論を呼び起こす。

逆に均質で安定化した社会はハンディを持っている。日本の

問題は、「社会があまりに秩序正しいため、変化する力が

生まれない」こととの指摘。まさに現在VUCAの中で、

その弱さが浮き彫りになっている。

紛争や無秩序も社会の一部。社会の分断は「不寛容さ」

におおもとの原因があるという。


インタビューの最後にトッド氏が語った言葉がより興味深い。

「国を超えた普遍性とは何かを絶えず問い続けること」。


国ごとに個性、国民性がある。その国に生まれた赤ん坊は、

大きくなるにつれてその国の文化を習い身につけていく。

自らとは異なる考えや社会を排除せずに、存在を認め、

受け入れられる寛容さをどれだけ持つことができるか?


普遍的なイデオロギーはない。

その国ごとに、その地域ごとに、より良くなるための問いを

創り出し、最適な解を模索していく。

私たち一人ひとりがその役割を果たしていくのだ、と。

分断と対立を超えていくために、国にも個人にも求められる

とても大切なこと。「協調」と「寛容」。

多様性を口に唱えるだけでなく、その意味をよく理解し

自ら実践していくことが必要。


そして、「あなたが働きかけなくても理解しなくても

歴史は続きます」とトッド氏に語ったという先輩歴史家の

言葉。その奥深さに敬服すると共に励まされる。

”人と自然を調和しながら『持続可能な未来』を共創する”