極東ロシア沿海地方に拡がる針葉樹と広葉樹が混交する大森林地帯『タイガ』。
日本の新潟から約2時間飛行機に乗ると、ハバロフスクやウラジオストクに着く。
そこから車で約5時間、悪路をひたすら行くと、タイガの原生林に入る。
日本海を挟み、隣に拡がる南関東くらいの大面積を持つこの森は、絶滅危惧種の
アムールトラや、オオカミ、シマフクロウ、ヒグマやツキノワグマ、イノシシ、アカシカ、
クロテン、カワウソなどが暮らす北方固有の生態系を有している。
そして、この多様な生き物たちと太古から共生を続けてきた、先住少数民族ウデへ
の人々が生活する土地でもある。
この素晴らしい森が現在も存在するのは、ウデヘなどの先住民達が自然と共生して暮らし、
これまで何度も計画が上がった森林伐採など様々な危機から、身を張って必死に
守ってきてくれたお陰だ。
命あふれる森とそこに暮らす人々の生活を撮影したドキュメンタリー映画が、
完成した。2010年の初夏から2011年の夏にかけて現地での撮影を行ってきたものだ。
映画「タイガからのメッセージ」
(予告編 http://www.youtube.com/watch?v=HKgRp3WYOCc&context=C3c8eb19ADOEgsToPDskKf23UKFbvAUOaf5tKl0iFd)
日本の新潟から約2時間飛行機に乗ると、ハバロフスクやウラジオストクに着く。
そこから車で約5時間、悪路をひたすら行くと、タイガの原生林に入る。
日本海を挟み、隣に拡がる南関東くらいの大面積を持つこの森は、絶滅危惧種の
アムールトラや、オオカミ、シマフクロウ、ヒグマやツキノワグマ、イノシシ、アカシカ、
クロテン、カワウソなどが暮らす北方固有の生態系を有している。
そして、この多様な生き物たちと太古から共生を続けてきた、先住少数民族ウデへ
の人々が生活する土地でもある。
この素晴らしい森が現在も存在するのは、ウデヘなどの先住民達が自然と共生して暮らし、
これまで何度も計画が上がった森林伐採など様々な危機から、身を張って必死に
守ってきてくれたお陰だ。
命あふれる森とそこに暮らす人々の生活を撮影したドキュメンタリー映画が、
完成した。2010年の初夏から2011年の夏にかけて現地での撮影を行ってきたものだ。
映画「タイガからのメッセージ」
(予告編 http://www.youtube.com/watch?v=HKgRp3WYOCc&context=C3c8eb19ADOEgsToPDskKf23UKFbvAUOaf5tKl0iFd)
タイガの森を流れるビキン川は、アムール川本流へと合流し、オホーツク海に流れ込む。
森の栄養分を親潮などに運び、日本の豊饒な海の源となっている。
このことは、「森は海の恋人」で有名な畠山重篤さんもよく口にされていること。
タイガは遠い国の森でなく、日本に住む私たちと非常に強いつながりを持った自然だ。
しかし、全世界の森林の22%がロシアにあると言われる中、地域経済の収入を目的に、
ビキン川流域にも森林伐採の手が迫っており、生態系破壊の危機が近づいている。
2003年、現地の状況を知った私は、国際環境NGOのFoEJapanとパートナーシップ
を組み、タイガの森保全プロジェクトを会社(当時の)へ提案し決済が通った。
そしてこの地をよく知る野口さん(当時FoEJapanスタッフ)と目指す姿を描いていった。
昭和30~40年代、日本は大量の木材を海外から輸入してきた。その中で、安価な針葉樹材
として重宝されたのが、このロシアの木材(北洋材)である。ソ連時代、自然の回復力を
無視して伐採し、最大の輸出国である日本に向けて送り出していた。
その木材により、私たち日本人は家を建て、豊かな暮らしを手に入れることができたのだ。
この森からの恵みを受けた私たちが、恩返しをするのは当前なことである。
森を持続的に守るため、プロジェクト目標として設定したのが、世界自然遺産への
登録だった。
自然遺産に登録するための条件としては、生物多様性と絶滅危惧種の存在が必要であるが、
世界にわずか300ほどしか生息していないといわれるアムールタイガーの存在と、それを
支えている自然の大切さをユネスコは認識していた。
但し、大きな関門があった。
それはこのタイガの自然を国が法的に保護管理する枠組みが作られることにあった。
そのために立法、人員確保、育成、資金準備および管理計画などをロシア政府に
働きかけていくことが必要だ。
一方、この地域で長く暮らしてきたウデヘの人々が、これからもこの森と共生して
いくためには、単に立ち入りを禁止するのではなく、森林という有益な資源を持続的に
どう活用し守っていくかも十分配慮すべきことであった。
ステークホルダーとの様々なやりとりをふまえて、「国家レベルの伝統的自然利用
テリトリー」として制定を受けることを目指すこととなった。
プロジェクトでは、ウデヘの人々を中心に、エコツーリズムに加えて冬の動物密猟
取り締まりのためのパトロール組織作りや、そのために必要な通信機器、スノーモービル
といった機材の支援、また地元の伝統文化を来訪者に伝えるための学習施設づくり、
ウデヘの人々が森から得ているハチミツやハーブなどの製品を、生活の一助にするため
フェアトレード化の計画を立て、地元の人々との協働を少しずつ進めていった。
そして、2008年にはプロジェクトの活動を日本国内でも多くの人々に知ってもらい、
取り組みの輪を拡げていくことを目指し、「タイガの森フォーラム」設立を
呼び掛けることにした。
以前から親しくしていた篠健司さん(パタゴニア日本支社)、坂本 有希さん(地球・人間
環境フォーラム)のお二人と野口さん、私が委員という形で運営していくこととなった。
私たちの熱意に応えて、このタイガを将来に残すことを目的に、作家C・Wニコルさんを
はじめ様々な分野で活躍する方々が呼びかけ人となり、2009年12月に活動が開始された。
その後、三上雄己さん(abovo)と木村輝一郎さん(abovo)という映像制作の
プロも加わり、世界遺産登録への気運が高まるビキン川流域の四季の自然や、
そこで森と共に暮らす人々の生活・想い、稀少なアムールトラの姿が登場する映画を
作ることとなった。
このタイガの魅力を世界の皆さんと共有し、地球上の生物全てにとって大切な
この場所を未来に残していきたいと願う。
現在、ビキン川流域の世界自然遺産登録は、ロシア国内の候補リスト入りされている。
一刻も早くウデヘの人々と共に喜ぶ日が来ることを待ち望んでいる。
(2005年現地を訪れた私を温かく迎えて、タイガの森を一緒に歩き、未来への夢を
語ってくれたヤコフさん。残念ながら映画の完成の前に亡くなられた。彼は今、タイガの
一部となり、我々の活動を優しく見守っている)
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