『地球の素晴らしさは生命の輝きにある』

1997年12月、私は屋久島の山中であやうく遭難しかけ、大自然の中で連綿と織り成されてきた生命の循環のかけがえのなさに気づかされました。

そして、今後の人生は「子供たちが未来に夢や希望を持てる社会の共創」に取り組むことを志し、曲がり曲がりながら真っ直ぐを目指し、自分の道を歩んできました。
その中で、大きな影響を与えられた偉大なる人々。数名の方には実際にお会いして直接の薫陶を受けることができました。司馬遼太郎、星野道夫、安岡正篤、レイチェル・カーソン、ジョン・ミューア、アンセル・アダムズ、河合隼雄、梅棹忠夫、ジェーン・グドール、ジェームス・ラブロック、宮澤賢治、山本周五郎、アーヴィン・ラズロ、ジョセフ・ジャウォースキー、C・W・ニコル、高橋延清、宮崎駿、神渡良平の各師。
その中の一人、レイチェル・カーソン女史。米国で1962年に「沈黙の春」を完筆し、環境
汚染(とりわけ農薬による)と破壊の実態
を世にさきがけて告発。世界中で農薬の使用を制限する法律の制定を促すと同時に、地球環境へ人々の関心を集めるようになるきっかけを作った偉大な女性。

「沈黙の春」を執筆中にガンに侵された彼女は、残されたわずかな時間の中で本を完成
させます。本を書き終えたとき、自分に残された時間がそれほど長くないことを知っていました。 そして最後の著書「センス・オブ・ワンダー」を執筆し始め、1964年4月16日に56歳の生涯を閉じます。

彼女の友人たちは、レイチェルの夢を果たすべく、死の翌年に原稿を整えて1冊の本として
出版しました。
『人間を超えた存在を認識し、おそれ、驚嘆する感性をはぐくみ強めていくことには、どのような意義があるのでしょうか。

自然界を探検することは、貴重な子ども時代を過ごす愉快で楽しい方法に過ぎないのでしょうか。それとも、もっと深いなにかがあるのでしょうか。わたしはその中に、永続的で意義深い何かがあると信じています。
 
地球の美しさと神秘を感じとれる人は、科学者であろうとなかろうと、人生に飽きて疲れたり、孤独にさいなまれることはけっしてないでしょう。
たとえ生活のなかで、苦しみや心配ごとにであったとしても、かならずや、内面的な満足感と、生きていることへの新たなよろこびへ通ずる小道を見つけ出す事ができると信じます。

地球の美しさについて深く思いをめぐらせる人は、生命の終わりの瞬間まで、生き生きと
した精神力をたもちつづけることができるでしょう。

鳥の渡り、潮の満ち干、春を待つ固い蕾のなかには、それ自体の美しさと同時に、象徴的な美と神秘が隠されています。

自然が繰り返すリフレイン-夜の次に朝が来て、冬が去れば春になるという確かさ-のなかには、かぎりなくわたしたちをいやしてくれるなにかがあるのです』

レイチェルは、地球の素晴らしさは生命の輝きにあると信じていました。地球はあらゆる生命が織り成すネットで覆われており、この地球の美しさを感ずるのも、探求するのも、守るのも、そして破壊するのも、全て私たち人間

大事なことは、美しいもの、神秘的なものに目を見はる感性「センス・オブ・ワンダー」を育むために、大人が子どもと一緒に自然を探検し、発見の喜びに胸をときめかせることですね。

”人と自然を調和しながら『持続可能な未来』を共創する”