『「項羽と劉邦」を読む息子』

先日、11歳の誕生日を迎えた息子は、以前からの
歴史好きがますます高ま
り、最近は私の書棚から
よく歴史小説を取り出すようになってきました。


数日前、机に座り熱心に読んでいる本を見ると、
司馬遼太郎さんの名作の一つ 「項羽と劉邦」(上中下)

汲めども尽きせぬ物語の展開と魅力ある人物像が
読み飽きない作品
で、(いよいよこの本に興味を持った
のかと)やや感心して「どう面白い?」と聞くと、「これ、
むちゃむちゃ面白すぎる」
との答え。

現在、篠浦伸禎先生(都立駒込病院脳神経外科部長)
より有り難く頂いたテーマに取り組んでいる私、
その横に並んで一所懸命に読む息子の姿から、
司馬さんを学ぶことの嬉しさを感じています。

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「項羽と劉邦」初版1984年

秦の始皇帝の死後、各地で反乱が相次いだ。
江南の項羽は叔父項梁とともに楚を復興し、やがて
秦を滅ぼす
が、その軍勢の中には沛公劉邦がいた。

戦では百戦百勝の楚の鬼神・項羽
と、その人柄に
よって周囲に賢人を得た漢の劉邦



この2人を軸に人物群像の興亡を描いた作品で、
人望とは何かについてよく考察を得られる作品。

中国大陸の歴史は常に流民の歴史
であり、
その流民をいかに食べさせるか、を劉邦は
考えたことが勝因であるといい、
一方で敗者となる項羽に対する司馬さんの目は
温かく、読後に人間社会とはを考える余韻となります。

”項羽は武の天才であった。
自身の力、カリスマ性など並ぶ者のない豪傑である。

しかも、項羽は自分に跪く者に非常に寛容で、
情も深かった。特に同じ楚人に対しては絶対的な
愛情と信頼を示す。

しかし、反対に敵に対してはまったく容赦なく
前代未聞の大量虐殺などを行う。

対して劉邦は、はっきり言って無能である。
武だけでなく智もあまりない、しかし劉邦は
人の意見を聞く耳を持っていた。

不思議なことにそういった人間には、欠点を
補ってくれる様々な有能な人物が集まってくる
のである。”
















”人と自然を調和しながら『持続可能な未来』を共創する”