『和を生み出すこころ』

平成26年3月、国際宇宙ステーション(ISS)
長期滞在中の若田光一宇宙飛行士が、第39代目のISS船長

就任したことは記憶に新しいことです。

ISS船長は、宇宙飛行士全員の命とISSミッション全体を

預かるという重い責任と、適格な危機管理能力が求められます。 


若田宇宙飛行士がISS船長に任命された
のは、これまでの

宇宙活動の実績や地上での勤務・訓練時に発揮してきた

優れたリーダーシップが高く評価されたからでした。 

若田さんは、この長期滞在で一つのテーマを掲げます。
 ”「和」(ハーモニー)”

日本人が特に重視する美徳
の一つである、「和」の心

持って、世界15ヶ国による国際協力のシンボルである

ISSで、アジア初の船長として任務にあたる。


ISSプロジェクトには、米国、EU、ロシア、日本など

様々な国の宇宙飛行士らが参加しており、

ISSとそこに接続された各国の実験棟を運用管理する

地上管制局が世界各国に点在しています。


国境・国籍を超えてチームがひとつ
になり、宇宙の

謎の解明と地球と人類の将来に貢献する研究開発

いう命題に取り組んでいます。 

ISSには国境はなく、ISSから見た地球にも国境はない
共に見つめているのはひとつの地球であり、人類の将来

そのひとつの目的に向かって、真摯にお互いの意見に耳を傾け、

信頼関係を築くことを通じて、国籍の違う者同士が

様々な課題に立ち向かい、それらを克服していく。 

若田さんはその思いを次の様に語りました。
 「私たち宇宙飛行士のチーム、世界各国の地上
管制局のチームの皆さん、高い士気を持った多く
の人たちが ISSの運用に携わっているのですが、

やはりチームとしてみんなが同じ目的に向かって
頑張ろうという気持ちがあったときに初めて、
そのチームがいい仕事を生み出せるのではないか
と思うのです。

ですから、チームワーク=チームの和(ハーモニー)
が大切だということを改めて表現したくて、ミッション
パッチに「和」という言葉を掲げました。

とはいえ、いつもみんなが仲良くできるわけでは
なくて、何か問題が起きそうなときなどにはみんな
が意見をぶつけ合って、議論になります。
しかし、そんなときでも議論を通じて自分の考えを
しっかりと相手に伝え、相手が言いたいことを
きちんと汲み取ってあげる。

そういうコミュニケーションをしっかりと行うこと
によって、議論のあとにはお互いの信頼関係が
より強くなるのです。

きちんとコミュニケーションをとって、お互いの
意見に耳を傾けて、その結果生まれるチームの「和」を

私は大切にしたいと思い、このミッションに臨みました。 


この言葉は、宇宙の仕事に携わるずっと前から
私が大切にしてきたものです。

日本人が今までずっと大切にしてきた気持ち、世界中の

人たちがその価値の大切さに共感してくれる言葉では

ないでしょうか。」


チームの「和」を生み出す
ためには、議論による意思疎通

が必要であり、お互いに相手を思いやる気持ちが、

信頼関係生み出します。 


私たちが生きる社会で直面している様々な課題の解決に

対して、大きなヒントなるのではないでしょうか。 

”人と自然を調和しながら『持続可能な未来』を共創する”