『桜草の美しさを称える歌』

「くさの名も桜といへは
日本ひのもと
にかきる色香の
盛さかり
みすらし」
「桜草」の美しさを称える
この和歌は、屋代弘賢(江戸時代後期の国学者)が、文晁が描いた「桜草」の絵に添えたもの。
文晁は、江戸時代後期の画家。狩野派をはじめ、南画から洋風画まで様々な画法を学び、諸派を融合させた画風により江戸画壇に重きをなしたことで知られています。「桜草」は、日本の原野の湿地に自生するサクラソウの園芸品種

室町以前、主に寺社や禁裏・宮廷、公家の庭の花であった「桜草」は、室町時代に挿花や立花、特に下草などとして武家屋敷などの書院造りの飾りに使われるようになりました。江戸時代中期頃、荒川の原野に野生するサクラソウから本格的な栽培が始まり、種子まきを繰り返すうち白、桃、紅、紫、絞りなどの色変わりや、大小さまざまな花形の変わり品が生まれ、名称が付けられたといいます。自生地では林間の湿性地や原野の草間に生え、ときに群生。
写真は、愛犬との散歩途中に見かけた光景。真っ赤なヒガンバナの隣りに小さなピンク
の花を
咲かせるイモカタバミが群生していました。イモカタバミとそっくりな花に、ムラサキカタバミがあります。
イモカタバミの方が色が濃く、花の中心が濃い赤。ムラサキカタバミは、花の中心が薄い黄緑色でおしべが白。イモカタバミもムラサキカタバミも、南アメリカ原産の帰化植物。前者は戦後、後者は江戸時代に到来しました。

ムラサキカタバミは、「要注意外来生物」に指定されており、これは未だ特定外来種には指定されていないが、今後の調査結果では指定される可能性がある種をいいます。身近な所でよく見かける植物に、「要注意外来生物」や生態系を損ねる恐れがあるため栽培、保管、運搬、輸入等を規制されている「特定外来生物」があったりするもの。 
日本古来の種を大切にしつつ、単に可愛いからとむやみに「外来生物」を拡げないように気をつけたいものですね。

”人と自然を調和しながら『持続可能な未来』を共創する”