今日は、創立120周年を今年迎えた東京経済大学が主催し、
東洋経済新報社協力によるトークセッションへ参加。
岡本英男氏(東京経済大学学長)と中野剛志氏(評論家)の
対談による「日本資本主義の行方-渋沢栄一からMMT-まで」
という大変興味深い題。
渋沢栄一は、東京経済大学の前身大倉商業学校創立を支援した
縁ですが、先日私が講演した同志社大学設立にも関わっていま
した。
経産省の現役官僚でもある中野さん。wikipediaでは、
「くたばれグローバル資本主義」が座右の銘だという。
現在の世界は「長期停滞と失業」、すなわち経済成長が
望めない状態=「ニュー・ノーマルの時代」に突入した
こと、その大きな要因は極端なグローバル化と金融
資本主義であると説いています。
さて「渋沢栄一からMMT-まで」について、中野さんの
お話で興味深かった内容は、主に以下。
・渋沢栄一が活躍した時代、世界に目をやると実は日本が
キャッチアップ(追いつき追い越せ)のモデルになる国
はなかった(英国は第二次産業革命に失敗中)。モデルに
なる国がない中で、渋沢が基にした「論語と算盤」を
紐解くと、信奉した論語は水戸学(忠君愛国の精神など
ナショナリズムであった)。
封建的江戸時代の名残が多くあった明治初期にも関わらず、
資本主義の仕組みに着目し、殖産興業に取り組み成功した
のは本当にすごい。
(帰宅後、『論語と算盤』を開くと『二二』にこう書か
れていました。
「論語の教は広く世間に効能があるので、元来解り易い
ものであるのを、学者が六ケ敷くして了い、農工商などの
與かり知るべきもので無いといふやうにして了つた、
商人や農人は論語を手にすべきもので無いというやうに
して了つた、之は大なる間違である」)
・渋沢にしても、MMT「現代貨幣理論」の先駆けであった
高橋是清にしても、込められた言葉の力を持っていることが
共通している。歴史家がよく行いがちだが、現代を正しいと
して過去を評価すると誤りを生み出すものである。本当に
過去の時代をよくよく理解できているのかというと、そう
でもない。過去の時代をより広くより深く掘り下げた上で、
あらためてその業績を見てみると、二人のすごさがよく
わかった。
そして、ちょうど今日まで開かれていたダボス会議で、
「ステークホルダー重視の資本主義」が言われたことに
ついて、渋沢翁が当時既に言っていたことだよねと。
『21日開幕した世界経済フォーラム(WEF)の年次総会
(ダボス会議)は、資本主義の再定義が主題になった。
株主への利益を最優先する従来のやり方は、格差の拡大
や環境問題という副作用を生んだ。そんな問題意識から、
経営者に従業員や社会、環境にも配慮した「ステーク
ホルダー(利害関係者)資本主義」を求める声が高まる。』
(日本経済新聞オンライン2020.1.22)
日本企業は折角、身近に学ぶべき経済の実学があった
のですから、今からでも温故知新を行うべきですね。
尚、中野さんがMMTについて、東洋経済オンラインで
様々にわかりやすい解説を書かれています。
https://toyokeizai.net/articles/-/298560
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